
新規開催の大会で今季初優勝を果たした小祝さくらは、トロフィーを手に笑顔を見せた(カメラ・今西 淳)
◆女子プロゴルフツアー 明治安田レディス 最終日(20日、宮城・仙台クラシックGC=6642ヤード、パー72)
3打差10位から出た小祝さくら(27)=ニトリ=が、今季初勝利となる通算12勝目を挙げた。1イーグル、5バーディー、1ボギーの66と伸ばし、通算15アンダーで逆転V。88年のツアー制施行後では歴代6位となる7年連続優勝で、新規大会の初代女王となった。開幕前日の16日に会場内でクマの目撃情報があったため、3日間競技に短縮され、無観客開催となった異例の大会を制した。優勝賞金は75%の1350万円となった。
ホールアウトから1時間後。小祝はクラブハウスから18番グリーンを見つめ、自身の勝利を知った。過去3戦全敗のプレーオフに突入せずに優勝が決まり「ホッとした」。クマ出没の影響で4年ぶりの無観客試合だった。表彰式は拍手も歓声もなく、歌手の小田和正(77)のバラード曲「たしかなこと」が響く中、トロフィーを掲げた。「コロナ禍ぶりの無観客の試合で、たくさんバーディーを取って優勝できてとてもうれしい」と喜びをかみ締めた。
16番のイーグルで勝負を決めた。首位の河本結(26)を1差で追う中、残り13ヤードのグリーン左奥カラーからウェッジでの第3打がカップに消えた。新岡隆三郎キャディー(52)の「入れ~」の大声に「ビックリした」と笑った。3差逆転で歴代6位、継続中の選手では最長の7年連続Vをつかんだ。
プロ2年目の18年から昨年8月まで228試合連続出場。体の強さを武器に国内で12勝を積み重ねた。27歳は「年を取ったせいか、(体を)痛めたり、肩こりを感じる」と笑うが通算16勝の上田桃子さん(39)を支えてきた伊藤久トレーナーが今季から帯同。酷暑下の連戦でも毎晩、1時間半のケアを受け「体の特徴を分かってくれていて、楽に回れている」と感謝する。
常に前向きだ。今季は開幕戦で予選落ち、2位2度と優勝が遠かったが「落ち込むことは全然ない。あまり深く考えないのがいいのかな」と鋼のメンタルを持つ。パーオン率75・5361%はツアー1位で、今季17試合で10位以内11度はツアー最多。抜群の安定感も代名詞となっている。
竹田麗央(22)、山下美夢有(23)ら昨季メルセデスランク上位5人中4人が米ツアーに主戦場を移した中、同4位で新女王の大本命が今季初V。同ランク4位から2位に浮上。2週後はAIG全英女子オープンを控え、「全英は昨年予選落ちしたリベンジをしたい。国内では2勝目とメジャー優勝」と柔らかな笑みを浮かべた。(星野 浩司)