
AIG全英女子オープンで優勝し5日、成田空港に帰国後、取材に応じた山下美夢有(前列)(カメラ・榎本 友一)
女子ゴルフのAIG全英女子オープンでメジャー制覇を果たした山下美夢有(みゆう、花王)が5日、帰国した。集まった報道陣約50人、うちわやタオルを持ったファンから祝福を受けた。成田空港で取材に応じ、日本勢6人目の快挙に「優勝できたことがうれしくて、飛行機でも優勝シーンを考えていた」と笑みを浮かべた。
かねてメジャー優勝を目標に掲げ、日本ツアーでは22、23年に年間女王に輝いた。国内13勝を挙げ。今季から米ツアーに本格参戦。悲願達成に「小さいときからの夢でもあった。地道にやってここまで来ることができたので、自分にとっては最高。でもここまで来るのも私一人ではなく、周りの支えてくださってる方に応援していただいて、力になった。それでこの優勝があると思っている」と家族やスポンサー、ファンなどへの感謝も忘れなかった。
全英で最も印象に残っているのは最終日の13番パー5と振り返った。ティーショットがバンカーにつかまり、2打目が出すだけに。4打目のアプローチは寄らずと、大ピンチだったが、8メートルのパーパットをねじ込んだ。「最終日は13番だけが良くなかった。あのパットを入れたときはすごく良かった」とうなずいた。
強風の吹き付けるコースでの優勝には、武器である正確性が生きた。身長150センチと小柄で、今季の平均飛距離は245・22ヤードでツアー146位。飛距離を10ヤードほど伸ばそうと考えた時期もあったという。そんな中でもコーチを務める父の勝臣(まさおみ)さんに相談し、「ショットじゃなくてスコア作りや、どうやったらバーディーを取れるかを考えた方がいい」とアドバイスを受けた。「いろいろ考えてマイナスになっていた。人それぞれ体も違うし、コンディションも違う。今、自分ができることをやることが大事」と考えを切り替え、7月のエビアン選手権前からは強みであるショートゲームや、パッティングに注力した。
今週は自身今季初の日本ツアーとなる北海道meijiカップ(8~10日、北海道)に凱旋出場する。強行日程にも、「日本のファンの方もたくさん応援していただいて、今回優勝できたのも皆さんのおかげだと思っている。日本のツアーにも出たいと思っていた」と参戦の理由を話した。1か月ぶりの帰国に日本食を楽しみにしていたといい、「おいしいものを食べて試合も頑張りたい。お寿司とか、スープカレーを食べたい」とメジャー優勝前と変わらない山下らしさが垣間見えた。一回りも、二回りも強くなった姿を日本のファンに見せる。