1日6回、数10分ずつの瞑想で大人顔負けの精神力 史上初の中学生プロ・加藤金次郎、イーブンパー87位発進 


笑顔でホールアウトする加藤(カメラ・星野 浩司)

笑顔でホールアウトする加藤(カメラ・星野 浩司)

◆男子プロゴルフツアー パナソニックオープン 第1日(25日、大阪・泉ヶ丘CC=6993ヤード、パー71)

 最年少15歳142日でプロデビュー戦に臨んだ加藤金次郎(フリー)が3バーディー、3ボギーの71で回り、イーブンパーの87位で発進した。22日にプロ宣言した史上初の中学生プロは主催者推薦で出場。観客から「金ちゃん!」と大声援を浴び、終盤は2連続バーディー締め。自身5戦目のレギュラーツアーで初の予選通過を狙う。ツアー1勝の小鯛竜也(35)が自己ベスト62で回り、9アンダーで単独首位発進した。

 会場が“金ちゃんフィーバー”に沸いた。史上最年少15歳でプロデビュー戦に挑んだ加藤は「緊張はしなかった」というが、前半で3ボギー。しかし、後半に入ると5番で2メートルに寄せて初バーディー。8番は7メートル、9番は2・5メートルを沈めて2連続バーディーで締めた。「楽しかった。前半は30点、後半は100点に近い良いプレーができた」と初々しい笑顔がはじけた。

 プロ宣言から3日。会場ではファンから「金ちゃん!」と声を掛けられる人気ぶりで、サインを求められると漢字で「金次郎」と記した。「応援の声がすごく力になった」と終盤にチャージ。父・景三さん(47)も「特に後半はよく頑張った」と目を細めた。270ヤード超えのドライバーショット、正確なパットを披露。12歳から師事するコーチ兼キャディーの中村映禅さん(53)は「3年間でかなり出来上がってきた」と成長を語る。

 中3ながら冷静で堂々とした取材対応は大人顔負け。奈良の実家が浄土宗の寺「西迎院」で、自身も僧侶資格を持つ中村さんの指導で朝、移動時、夜の各2回、数10分ずつ瞑想(めいそう)に励み「無になったり、優勝した姿をイメージする」。精神強化が集中力を生んでいる。

 初の予選突破を目標に掲げ、賞金獲得した際は「まずは貯金したい」と言う堅実派。加藤は「後半のプレーを続けていけば明日も良いプレーができる」と上だけを見据えた。(星野 浩司)

 ◆男子ゴルフのプロ選手 アマチュア資格を放棄し、プロ宣言することは誰でも可能。国内で男子プロの資格を得るには日本プロゴルフ協会(PGA)の資格認定プロテストに合格すること、ツアープロになるにはツアー出場権が懸かる日本ゴルフツアー機構(JGTO)の予選会で成績を残すことが必要になる。加藤は予選会の1次を通過しているが、義務教育期間中はツアープロになれない規定のため、中学卒業後に資格が付与される。

 ◆加藤 金次郎(かとう・きんじろう)2010年5月6日生まれ、愛知・瀬戸市出身。15歳。水無瀬中3年。名前は父・景三さん(47)が姓名診断で命名。6歳からゴルフを始める。アマチュアとしてツアー4試合に出場し、最高成績は今年5月の中日クラウンズの63位。ドライバーの飛距離は270ヤード。憧れの選手はタイガー・ウッズ、石川遼。167センチ、72キロ。兄・蔵乃介さん(19)は浜松開誠館高2年時に夏の甲子園に出場し、現在は関大で野球部に所属。

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