原辰徳さんはゴルフ場でも勝負師


原辰徳氏

原辰徳氏

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 ゴルフ場にオレンジ色のタオルを掲げるG党があふれた。視線の先には、前巨人監督の原辰徳さん(67)がいた。9月の相模原GCで日本シニアオープンに初出場。年齢を感じさせない背筋が伸びた立ち姿、爽やかな笑顔に心をつかまれた。

 スタート前、知人に「ここでは静かに応援してね」と耳打ち。かと思えば、第1打をフェアウェーに運んで「センター前ヒット!」。林へ曲げたボールが運良くラフに戻ると「ついてますな~」と大声を張り上げ、ファンを楽しませた。結果は最下位で予選落ちだったが、来場者は平日の2日間で約4000人。若大将フィーバーに沸いた。

 巨人で現役15年、コーチと監督で20年。ゴルフの腕前は球界でもトップクラスだ。主にシーズンオフの冬場にラウンドするため「ゴルフ場の芝は茶色だと思っていた」と振り返り、「(毎年)少々うまくなったところでキャンプイン。変則なゴルファーだったけど、才能があったようです」と笑う。

 監督を退任後は「24時間を自分の予定で使えるようになった」と生活の変化を口にしたが、今も起床時には「生きて朝を迎える時は、常に挑戦という気持ちを持っている」と明かす。今大会も同組の選手に30打近く離され、ふくらはぎをつりかけても、より良い一打に挑み続けた。「孤独の中でいいスコアを出す。ゴルフは個人スポーツだけど、最終的に野球も1対1の勝負。勉強になった」。常に戦っていたい―。キラッキラに輝く原さんの瞳から、勝負師の強い信念を感じた。(ゴルフ担当・星野 浩司)

 ◆星野 浩司(ほしの・こうじ) 2008年入社。ベストスコアは93。

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