15歳・広吉優梨菜 アマ日本選手最年少のメジャー&ツアーVへ1差2位「信じられない」


18番、パーパットを沈めて声援に応える広吉(カメラ・豊田 秀一)

18番、パーパットを沈めて声援に応える広吉(カメラ・豊田 秀一)

◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦 日本女子オープン 第3日(4日、兵庫・チェリーヒルズGC=6616ヤード、パー72)

 4位で出たメジャー初出場の15歳アマチュア・広吉優梨菜(福岡第一高1年)が7バーディー、2ボギーの67をマークし、通算14アンダーで首位と1打差の2位に浮上した。15歳218日で勝てば、勝みなみ(27)=明治安田=のツアー日本人最年少優勝記録を更新。16年大会を17歳アマで制し、今年1月にともに米国合宿を行った畑岡奈紗(26)=アビームコンサルティング=を抜く快挙が視野に入ってきた。ツアー2勝の堀琴音(29)=ダイセル=が68で通算15アンダーの単独首位をキープした。

 15歳とは思えない貫禄だった。今年1月に日本ゴルフ協会のナショナルチームに選出された広吉は、日の丸入りのユニホーム姿で自身初の2サム(2人1組)でプレー。13番のボギーで後退した直後、14番は2メートル、15番は3メートル、17番は池越えで4メートルに寄せてバーディーを量産した。この日はパーオンを4回逃したが、3日間合計で88・89%は全体トップ。堂々の2位浮上に「信じられない。このスコアで回れてすごく良かった」と初々しい口調で喜んだ。

 ギャラリーの注目は増す一方だが、冷静そのもの。「声をかけてもらえてうれしい。緊張より楽しい」と笑う。個人優勝した滋賀国体に先月30日まで出場後、兵庫に移動。開幕前日の1日に練習ラウンドをこなした。疲労はピークだったが「11時間たっぷり寝た」と即、回復。高校の宿題は友人の協力を得てスマホのアプリで提出しつつ、ゴルフ場ではプロと互角のプレーで沸かせている。

 この日朝のパット練習も入念に「10歩、15歩を往復して距離感を落とし込んだ」と励んだ。普段は一日3回の練習も珍しくない。中1から指導する高武大輔コーチ(42)は「天才ではない。努力型の選手。基本を徹底する実行力がある」と言う。日本一を争い、1968年から行われている今大会でアマ優勝は、16年に当時17歳だった畑岡ただ一人。偉大な先輩を超える、15歳218日での最年少Vに迫っている。

 その畑岡とは1月に、米国で約1週間、ともに合宿。畑岡の紹介で米ツアー6勝のエイミー・ヤン(36)=韓国=ともラウンドした。ストレッチ時の動作も360度方向から動画撮影し、足元にマットを敷いて足幅やボール位置を毎回確認しながら練習する畑岡の緻密(ちみつ)な姿に「こういうことをするから強いんだなと、勉強になりました」と刺激を受けた。

 最終日は1打差で追う14歳上の堀と直接対決。広吉は「攻めるところは攻めたい。最終組で回るのはいい経験になる。楽しみながら頑張りたい」。緊張知らずの高校1年生が歴史を塗り変える。(星野 浩司)

 ◆16年日本女子オープン(10月、栃木・烏山城CC) 最終日に4打差の5位から出た当時17歳の畑岡奈紗(茨城・ルネサンス高3年)が68で通算4アンダーと伸ばし、逆転で初優勝。アマチュアで史上初めてメジャーを制し、17歳263日は年少3位のツアー優勝だった。当時20歳の堀琴音は2位で出て71と伸ばせず、1打差の2位に終わった。

 ◆広吉 優梨菜(ひろよし・ゆりな)2010年3月1日、福岡県出身。15歳。福岡第一高1年。父の影響で9歳でゴルフを始める。北九州市立折尾中3年時の24年日本ジュニア選手権(12~14歳の部)で優勝。25年1月に日本ゴルフ協会(JGA)ナショナルチーム選出。8月のNEC軽井沢72でツアー自己最高の8位。得意クラブはアイアン。平均飛距離は240ヤード。憧れの選手は吉田優利。160センチ。

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