
堀琴音
◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦 日本女子オープン 最終日(5日、兵庫・チェリーヒルズGC=6616ヤード、パー72)
プロ12年目の堀琴音(29)=ダイセル=がメジャー初優勝を飾った。単独首位で出て5バーディー、1ボギーの68で回り、通算19アンダーで逃げ切って約3年ぶりの3勝目。優勝賞金3000万円を獲得した。最終日に当時17歳アマチュアの畑岡奈紗(26)=アビームコンサルティング=に逆転され、1打差で初優勝を逃して涙にくれた16年大会のリベンジに成功。昨年12月に会社員の高坂佳祐さん(30)と結婚後初優勝を果たし、今後の目標にメジャー2連勝を掲げた。
最終18番。ウィニングパットを決めた堀は一瞬、両手で顔を覆った後に満面の笑みで両手を突き上げた。高校時代を過ごした兵庫県でメジャー初優勝し、16年大会のリベンジ達成。夫・佳祐さんと熱いハグをかわし「この景色を夢見て頑張ってきた。第2の故郷の兵庫で、9年前の忘れ物を取りにこれて本当に良かった」と涙声で喜びにひたった。
9年前の悪夢を払しょくした。前夜は緊張で眠れず「食事も喉を通らなかった」。最終日にV逸して悔し涙にくれた16年の話題を今も言われ「苦しかった」と明かすが、当時と同じアマ選手の15歳・広吉と優勝争いを制し、同じピンク色のシャツ姿で流したのは歓喜の涙。両手で顔を覆った時「あの時に曲げたとか悪いことが走馬灯のようにフラッシュバックした。パッと手を開けた時に優勝したうれしさが倍増した。9年は長かったけど、無駄な道ではなかった」とかみしめた。
21年に初優勝。22年に2勝目を挙げたが23年にシード落ち。「球が右45度に飛び、アプローチもパターも入らず、苦しかった。山あり谷ありで今がある」。親交の深いツアー2勝の原江里菜(37)からの助言もあり、23年から長尺パターに変更。手首を使わず打つことでミスが減り、打つ瞬間にボールを見ない“ノールックパット”でこの日も16番で5メートルのバーディーパットを沈め、優勝を決定づけた。森守洋コーチ(48)の指導で21年から球筋を左から右に曲がり落ちるフェードに変え、フェアウェーキープ率は今季1位の“曲がらない女”が、新兵器でメジャーを初制覇した。
昨年のクリスマスに結婚後初V。毎週、ツアーで各地を遠征し、自宅で共に過ごす時間は少なく「奥さんらしいこと何もしてあげられてないけど、心強い存在」と日頃の支えに感謝した。「4勝目、5勝目を目指して頑張る。(11月のJLPGAツアー選手権)リコー杯で優勝したい」と堀。メジャー2連勝の野望もぶち上げた。(星野 浩司)
◆堀 琴音(ほり・ことね)1996年3月3日、徳島市生まれ。29歳。7歳からゴルフを始め、兵庫・滝川二高1年で国体優勝。3年時に日本ジュニア選手権15~17歳の部優勝。14年8月にプロ転向し、21年のニッポンハムレディスでレギュラーツアー初優勝を飾り、姉・奈津佳との史上2組目(当時)となる姉妹Vを達成。通算3勝。165センチ、56キロ。