
プレーオフ2ホール目で決着をうけた鈴木愛は天を仰いで感無量の表情(カメラ・竹松 明季)
◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 JLPGAツアー選手権リコー杯 最終日(30日、宮崎・宮崎CC=6543ヤード、パー72)
2017、19年賞金女王の31歳・鈴木愛(セールスフォース)が今季2勝目となるツアー通算22勝目を挙げた。通算9アンダーで首位で出て6バーディー、3ボギーの69で回り、通算9アンダーで並んだ岩井千怜(ちさと、ホンダ)とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制した。メジャーは9年ぶり3勝目。優勝賞金3000万円を獲得した。
約80センチのウィニングパットを決めた鈴木は、涙を浮かべながら両手を突き上げた。「自分の中ではすごく苦しい1年で、この2~3か月、ほとんど予選落ちしかしてなかった自分がまさかこの試合で優勝できるとは思ってなかったので、すごくうれしかった。永久シードの30勝に向けてもすごく大きな1勝になった。あと8勝はまだまだ遠いですが、なるべく早く優勝できるように頑張りたい」と喜びを語った。
優勝会見の一問一答は以下の通り。
◆鈴木に聞く
―最後のパット決めた瞬間の気持ちは
「毎年、毎年すごく長く感じていて、やっと終わったという気持ちが一番にきた。その後に、優勝できて良かったなという感じです。安堵が一番大きいです。やっぱり18番は少し苦手意識があったので。特にティーショットが今まで左のミスが多かったので、絶対左だけは曲げたくないっていう思いでティーショットを打ってたけど、右ラフ、右ラフで毎日ラフばっかりいってて、正規の18番でめちゃめちゃ右飛んでいって、早く今日が終わらないかなってすごく思ってた。この緊張感から早く解放されたいなっていう思いが強かったので、やっと今日終わったっていうのと、優勝できてよかったっていうのと、今シーズン終わってもう明日から練習しなくていいと思うと、やっと休めるっていう気持ちで少し嬉しいです」
―9月以降、5戦予選落ちと苦しんだ
「気持ち的に上げるのが一番難しくて、ショットは毎日、もっとこうかな、ああかなと言って練習でやってみたらいいんだけど、コースに入ると曲がるという繰り返し。全部ミスは左、左、左で、曲がり幅が大きくて、左のラフからしか打ってないんじゃないかっていうくらいだった。ショットもうちょっと良ければという感じだった。そこからパターも良くなかった。まっすぐ転がりそうにないのと、自分のフィーリングも悪かった。ニトリ(レディス)で勝った時のパターだと今の自分の実力だと少し難しく感じたので、昔使ってたピンクのマレット型のパターを使ったら、今まで使った中で断トツで簡単なので、ちょっとずつ良い方向にいった」
―今大会は米ツアー組の選手も多く出ていた。日本ツアーの代表としての意地はあったか
「いや、ないです。もうそんなレベルに今自分がいなかったので、本当にこんなに良い選手出てきたらもっと順位下がるやんって思ってた」
―その中で優勝できた
「すごい自信になった。今年活躍している選手ばかりだし、ほぼみんなアメリカに行って優勝してた選手ばかり。日本よりアメリカの方がコースセッティングは間違いなく難しいと思うし、アメリカ行くといろんなコースがある中で優勝したり、経験を積んでいる選手がたくさんいた。その中で自分が一番上に立てるとは、ちょっと予想もしなかった」
―今年31歳になり、続けて2勝した。まだまだ行けると胸を張って言えるのでは
「あまりないです。自分より先輩方の成績を見ていると、(藤田)さいきさん、(上田)桃子さんだったり自分より上の選手はたくさんいますけど、良い選手でも年々年を重ねるごとに優勝する回数はなかなか上がっていかないのが現実的なところ。調子をキープしていても、ゴルフする怖さも覚えるし、変な今までの経験がある分、しっかり体が動かないところもある。実力以上に変なものがよぎるのはあるのかなと思う。そこはルーキーの頃と違って違う難しさはある。若い時は勢いだけでいけていたものが、今は勢いもなくなってきて難しく感じるので、自分の実力以上のものや何かプラス要素がないと優勝するのはすごく難しいなと年々感じてきてます」
―永久シードまであと8勝。意識は
「一番大きな目標はそこです。毎年毎年、もちろん年間女王取りたいというのはあるけど、それよりも早く30勝に行って永久シードを取りたい気持ちが今、すごく大きい。自分の理想としては、35歳までに30勝が自分の中で今最大の目標なので、期限は自分の中で決めている。35歳を超えるとたぶん優勝するのが難しくなってくるので、35歳までが自分のリミットだと思う。そう思ったら、1年間に2勝ずつの計算でギリギリなので、この1勝はすごく大きかったと自分の中では意味しています」
―35という歳はいつぐらいから?
「30歳になってぐらいから考えるようになった。年々優勝するのが難しくなってきている中で、去年はすぐシーズン始めに勝てた。でも、30歳になってからはなかなか勝てなかった。急に難しくなる感じもするし、若い選手はもっと飛ぶし、いろいろ考えたら35が限界じゃないかなと。そこから毎年1勝ずつ重ねるというのは結構厳しいので、飛距離や気持ち的なところ、自分の技術を最大限に活かせるのは35ぐらいなんじゃないかと思った」
―30代になって成長したと一番感じることは
「アプローチが一番成長したなって思う。今週はティフトンが入っている、入っていないところ、普通の野芝の上にティフトンが混じっているところもあった。月曜日の練習ラウンドの時、9番のグリーンで練習していたら中嶋常幸さんが会場にいらっしゃっていて、話した時に「アプローチがすごく難しくて、ラフを挟んですごい転がる時と、食われて全然転がらない時とあるので、クラブ選びと打ち方が迷うんです」と話をしたら、こういう風にやったらいいよって教えてくれた」
―具体的には
「今までは58度か54度のウェッジでほとんどのアプローチしてたけど、特に逆目が難しいんですって話をしたら、『ウェッジで打つと点で落とさないとダメになり、ミスじゃないのにミスにつながるから、ウェッジじゃなくてピッチングで開いて打ったら簡単だよ」って言われて、練習ラウンドでやったらめちゃくちゃ良かった。それをやったら今週すごく良かったので、ショートゲームがいつも以上に良かった。パーセーブする確率もかなり高かったかなと思う」
―やっと休めると話していたが、何をしたいか
「ポケモンのゲームをずっとここ3、4か月やっていたけど、ゴルフと並行しながらっていう感じだったので、あんまりゲーム中心にというわけにはいかなかった。特に今週はほぼできなかったので、今日帰っていっぱいポケモンをしようと思います」
―地元・徳島県のファンにメッセージを
「ジャンボさん(尾崎将司)を超せる選手はなかなかいないとは思うけど、ジャンボさんに近づけるように自分も頑張りたい。なるべく地元にいいニュースを届けられるように、そして永久シードの30勝を目指してやっていきたい」

