◆男子プロゴルフツアー・メジャー最終戦 全米プロゴルフ選手権第2日(29日、米バルタスロールGC=7428ヤード、パー70)
【スプリングフィールド(米ニュージャージー州)29日=高橋宏磁】21位で出た松山英樹(24)=LEXUS=が4大メジャーでは自身3戦ぶりとなる予選突破を決めた。
2番パー4で圧巻のイーグルを奪うなど67。メジャーでは初めて2日連続で60台で回り通算4アンダーで5打差9位の好位置につけた。リオ五輪日本代表の池田勇太(30)=日清食品=、谷原秀人(37)=国際スポーツ振興協会=はともに通算3アンダー13位。
思わず松山も両腕を突き上げ、喜びを表現した。2番パー4、残り127ヤードの第2打。52度のウェッジで高々と上げた球はピン右奥5メートル地点に着弾。そのままスライスラインを描き、カップに吸い込まれた。4大メジャーのパー4で自身初のイーグル。「それなりの球が、それなりの場所に落ちた」。観衆総立ちの拍手に、笑顔も戻ってきた。
米ツアー公式サイトはこの一打を「ショット・オブザ・デー」と第2日の最高のショットに認定したが、6、14番でも、もう少しでイーグルのスーパーショット。9位と堂々の予選突破に「結構うれしい。うれしいけど今なら普通に通れると思う」。言葉の端々に自信があふれた。
6月の全米オープン、7月の全英オープンで予選落ち。「練習場ではできるのに試合ではできない」。練習と同じ高精度のショットを、重圧がかかる中で打つことが課題だった。今年の大会はパー70の設定とはいえ、4大メジャーで初の2日連続60台。現状を問われ「練習と試合でギャップはない」と言い切るまで復調した。
7位と健闘したマスターズ直後の5月、スイング改造に踏み切った。黙って背中を押した、恩師で東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(54)は「本人がやりたいことをやればいい。我々『チーム松山』は支えていくだけ」。周囲の献身的なサポートもあって、ようやく不調を乗り越えつつある。
パーオン失敗が2ホールと、データだけを見れば絶好調。だが約5メートル以上のバーディーパットが5回もあった。本人は「グリーンに乗っているけど、思い通りのショットはほとんどない。上に行くにはまだまだ足りない」とメジャー初制覇を見据えた。