勇太、日没順延PO制し通算15勝目


 ◆男子プロゴルフツアー ツアーワールド・カップ最終日(10日、茨城・石岡GC、7071ヤード=パー71)

 4ホール目を終えて日没順延となったプレーオフ(PO)で、池田勇太(30)=日清食品=がこの日5ホール目(通算9ホール目)でバーディーを奪って韓国の宋永漢(25)=新韓銀行=を破り、今季2勝目、ツアー通算15勝目を挙げた。POが翌日に順延されたのは1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)発足以来初めて。ギャラリーの入場は禁止され、通常営業のコースを訪れた一般ゴルファー約50人が18番グリーンを取り囲んでPO対決を見守った。

 「今日勝ったことで、自分の新たなスタートラインに立った気がしている」。2日間に及んだ一騎打ちを制した池田が、すがすがしい表情で言った。PO通算9ホール目で2メートルの下りのスライスラインを読み切って勝負を決めると、左手のパターを突き上げ、坂井恵キャディー(38)を抱き上げて喜びを爆発させた。時計は午前8時50分。前日の薄暮のPO突入から、16時間半で決着がついた。

 耐えてつかんだ優勝だった。通常営業のコースは、午前7時から一般ゴルファーで予約がいっぱい。7時半のスタート前の練習も、プレー客に交じって行った。PO中は両隣のホールから何度となく「ファー」の声が飛び交う中、1打のミスも許されないPOで「神様が『どこまで我慢できるんだ』と試練を与えてくれた」と考えて最後まで集中力は切らさなかった。

 「2位」の呪縛から、ようやく解放された。9月のANAオープンからトップ杯東海クラシックまでの3試合中2試合で、最終日の18番でボギーをたたいて1打差2位に終わっていた。4日間のラウンドとPOを合わせて5日間計81ホールの戦いを制し、「セカンドランナーをやっと卒業できたと思う」とホッと息をついた。

賞金1億円超え 09、10年に2年連続最多勝となる4勝を挙げたが、11年以降は年間1勝にとどまっていた。年間2勝目は、6年ぶり。5打差の逆転は、自己最多。30歳での通算15勝到達は、憧れている尾崎将司の29歳に次ぐ史上2番目の年少記録だ。今季獲得賞金額は1億円を突破し、賞金ランク2位に浮上した。

 「おかげで吹っ切れた気がする。いい起爆剤になった。賞金王に向けて1試合1試合を戦っていきたい。日本オープンでは、絶対に優勝争いしたい」と言葉にも勢いが戻って来た。「新しいスタート」を切った“新生・勇太”の標的は、初の賞金王だ。

(勝田 成紀)

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