女子プロゴルフツアーの伊藤園レディスは11日から3日間、千葉・グレートアイランドCで行われる。国内でのプロデビュー戦を迎える畑岡奈紗(なさ、17)=茨城・ルネサンス高3年=は10日、プロゴルファーとして公の場では初仕事となるプロアマ戦に出場。同組で回った日本女子プロゴルフ協会の樋口久子相談役(71)に内容で完敗するなど“デビュー前哨戦”は、ほろ苦いものとなった。
ピカピカの1年生がプロ50年目に圧倒された。4人1組のプロアマ戦でバーディーなしの畑岡に対し、樋口相談役は4バーディー。「樋口さんはどんなショットもスイングが一定のテンポ。すごく勉強になりました」。日米通算72勝の71歳に最敬礼だった。
レジェンドからはスポンサーや関係者への気配りの重要性からはじまり、プロとしての心構えも教わった。「強くなることが大事だと。しっかり練習してと言われた」。助言は米国での食生活にまで及んだ。「樋口さんは日本から麺類を持参し、自炊されていたと聞いた。私も麺類は好き」。来季の米ツアー挑戦を目指す17歳にとって、1977年の全米女子プロを制した日本人で唯一の海外メジャー優勝者の言葉は、全てが勉強になった。
樋口相談役は2003年大会のプロアマ戦で、プロデビュー戦だった宮里藍と同組で回り、個人戦で1打差で勝利。当時の藍と畑岡の比較を求められた同相談役は「(畑岡は)緊張もあったと思う。またまだこれから」と話した上で「体もいいし、軸が安定している。同伴競技者のボールを一緒になって探したり、すごくいい子」と評価した。
昨年大会を取材に訪れたテレビ局は1社だけだったが、今年は計5社のテレビ局から取材申請が届いている(中継局のテレビ朝日は除く)。前売り券の売れ行きも好調で、17歳が大きな注目を集めていることは間違いない。重圧、緊張、期待と不安。さまざまな感情を抱えながら、奈紗がエンジンを点火させる。(高橋 宏磁)