◆男子プロゴルフツアー三井住友VISA太平洋マスターズ最終日(13日、静岡・太平洋C御殿場C、7246ヤード=パー72)
単独首位で出た松山英樹(24)=LEXUS=が7バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの69で回り、通算23アンダーで自身初の完全Vを果たした。2週前の米ツアー・HSBCチャンピオンズに続き、日本男子初の日米2戦連続優勝で日本ツアー通算8勝目。絶好調のまま、石川遼(25)=カシオ=とともに出場する国・地域別対抗戦のW杯(24日開幕、豪州・メルボルン)で世界一に挑む。
世界ランク7位の松山が異次元の一人旅でファンを魅了した。通算23アンダーで迎えた最終18番パー5。残り188ヤードから7アイアンでの第2打をグリーン手前の池に入れた。22アンダー(04年大会ダレン・クラーク=英国)の大会記録更新は厳しいかと思われた矢先、残り70ヤードから60度のウェッジで放った第4打はピン奥5メートルからスピンで戻り、カップ左横20センチへ。スーパーショットに、この日一番のどよめきと大歓声がこだました。
最近1か月は日米ツアー4戦3勝。残る1戦も2位で、計約3億3370万円を稼ぎ出した。自身初の完全V&2戦連続7打差の圧勝劇を「いいところや苦しいところでパットが入ってくれた。だからこれだけのスコアを出せている」と分析した。3打差に詰め寄られていた11番で2メートルを決めて伸ばし、12番では3メートルのパーパットを沈めるなど大会記録を1打更新した。
東北福祉大2年生だった11年大会で、ツアー史上3人目のアマチュアVを飾った。くしくも5年前と同じ日に、自身初の同一大会2勝目を挙げた。「自分が海外に行っていろんなコースに行くようになり、成長したと感じているのかもしれない。今年の方が易しかった印象があります」と5年間の経験と成長を実感した。
プロ転向した13年に日本ツアー賞金王となり、その後は米ツアーで日本男子最多タイの3勝。プレー以外の成長も著しい。今大会では連日、練習後に寒い中で列を作った観客全員にサインした。「僕を見に来てくれる人がいるなら、それに応えようと思います。期待に応えられるような選手でいたい」。観戦した東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(54)も「この5年で人としても成長した。大したものですよ」と目を細めた。
次戦は石川と初タッグを組むW杯だ。「12番の第2打くらいから、ショットに関してはいい感覚が戻ってきた。優勝争いをできるように頑張りたい」。日本代表として1957年の中村寅吉、小野光一組、2002年の伊澤利光、丸山茂樹組に続く世界制覇への自信は、確信に変わりつつある。(榎本 友一)
◆ゴルフ国・地域別対抗戦W杯 1953年から行われ、今年は28の国・地域から2人ずつ参加。今年から各国・地域の世界ランク最高位選手がパートナーを指名する規定に変更。日本代表は57年の中村寅吉、小野光一組(中村は当時の個人戦でも優勝)、02年の伊澤利光、丸山茂樹組の2度優勝している。今年は今月24~27日に豪州・キングストンヒースGCで行われる。