松山、進化の裏側はパットの強化、メジャー制覇へ前進…担当記者が見た


大会新記録の通算23アンダーで優勝し、ギャラリーの声援に応える松山

大会新記録の通算23アンダーで優勝し、ギャラリーの声援に応える松山

 ◆男子プロゴルフツアー三井住友VISA太平洋マスターズ最終日(13日、静岡・太平洋C御殿場C、7246ヤード=パー72)

 今季日本ツアー2戦2勝の松山英樹(24)=LEXUS=はパットで大きな進化を遂げている。ここ1か月の獲得賞金は約3億3370万円で、まさに「パット・イズ・マネー」。進化の裏側を、マスターズなど海外メジャーで取材を続けてきた榎本友一記者が「見た」。

 松山は今大会、ラウンド(R)後に一度もドライビングレンジに行かなかった。パーオン率は77・78%(全体7位)、フェアウェーキープ率も60・71%(同35位)。世界屈指の精度を誇るショットは「調子は良くないですね」と連日こぼしていた。

 にもかかわらず、初日から3日目までは暗くなるまでパット練習に明け暮れていた。カップまで約2メートルの距離にピンを2本刺し、その間で3球ずつパターを真っすぐ引いて打ち出す練習を繰り返した。スタート前も連日、半分以上の時間をパット練習に割いた。国内屈指の高速グリーンに対応すべく、正確なストロークを磨いた。決勝Rでは2日間とも全体最少の25パットだった。

 ゴルフ担当の4年間で松山の国内6勝を見てきた。ショットでピンそばにつけてバーディーを量産するのが勝ちパターンで、ショット練習に時間を割く印象が強かった。だが、10月の日本オープンでは半分以上の時間をパットに割いていた。練習拠点を置く東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督によると、9月末以降はショットよりもパット練習に時間を割くようになってきたという。

 松山はこれまで、海外メジャーで何度も優勝争いを繰り広げながら、パットだけが課題だった。今年のマスターズでは7位。V争いの最終日は13、14、15番でいずれも3~5メートルのパットを外し、日本男子初の快挙を逃した。この日の優勝スピーチでは「メジャーで勝てるように頑張ります」と力を込めた。その言葉は、メジャー制覇への挑戦が第2段階に入ったという決意表明にも聞こえた。(ゴルフ担当キャップ)

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