ニュージーランドのJrゴルフ留学事情<1>ーニュージーランドはゴルフ天国だ


 南半球の島国ニュージーランド。オールブラックスで有名なラグビー大国であるとともに、実は1年中気軽にラウンドを楽しめる、知る人ぞ知る”ゴルフ天国”でもあるということ、皆さんはご存知でしょうか?日本よりひとまわり小さいその国土に約400ものゴルフ場が点在!ニュージーランドの総人口は400万人ですから、人口に対するゴルフ場の割合はゴルフの聖地スコットランドに次いでなんと世界第2位なんだそう。その400のコースはメンバーシップコースでありながら、20ドルほどのグリーンフィーを払えば誰でも気軽にプレーできる、基本セミ・プライベートコースなんですね。さらに、メンバーになればなんと!グリーンフィー無し(つまり1年中無料)でラウンドできちゃいますし、30分市街地から離れた郊外のコースならラウンド予約も必要がないという手軽さ。夏場の仕事帰りにふらりとホームコースに立ち寄って、ノンビリ歩きながら軽く9ホールなんていうのも、この国では良く見るスタイルです。

 まあそんなニュージーランドだから、子ども達も本当に恵まれた環境でゴルフに励んでいます。いや、励んでいるというよりは、明らかに楽しんでいるという感じですかね。これはどのスポーツにも言えることだけど、ニュージーランドでは何事もとにかくまずエンジョイするのが一番という考えがしっかりと根付いている。だからでしょうか、日本と比べると、大人サイドから子どもに対する押し付けや強制といったものは、著しく少ないんです。楽しければ、そして褒められれば、頑張らない子はいない、楽しく褒めて育てようという考え方。日本人から見ると随分と楽観的で自由奔放な教育&指導だなぁと正直戸惑うこともあるけれど、こういう楽しむことを最優先する指導スタイルをベースに、ラグビーではオールブラックスの面々、ゴルフではリディア コーやデニー リーといった世界の舞台で活躍するトップアスリートが何人も輩出されてくるのですから、我々日本人、特にジュニア育成に関わる人間はそこから学ぶべき点が多々あるのではと常日頃思っています。

 さて、実は今週、ここニュージーランド南島のカンタベリーにニュージーランドトップジュニア達が集結するトーナメントが開催されました。大会名は、ファルドシリーズアジア ニュージーランド大会。このファルドシリーズは日本でも毎年開催されているのでご存知の方も多いと思います。メジャー6勝、あのSirニック ファルドが世界の30を超える国々で開催しているジュニアトーナメントです。ニュージーランドで開催されるのは今年で3年目、男子の各年齢部門の優勝者3名と女子の総合優勝者の合計4名が来年3月ベトナムで開催されるグランドファイナルの出場権を得ることになります。 NZ大会の開催コースはクリアーウォーター・ゴルフクラブ。2015年、16年、世界ゴルフ大賞(World Golf Awards)にてニュージーランドNO1、そしてオセアニア地域NO1コースとして2年連続ダブル表彰されたチャンピオンシップコースです。NZ国内では、ニュージーランド女子オープンの開催地(2013ー2016)としても有名です。

 先ほど、この国のジュニアは恵まれていると書きましたが、このファルドシリーズにエントリーしたジュニア達は、たった100ドルのエントリーフィーを払うだけでクリアーウォーターをプレーできるんです。プレーフィーもプラクティスラウンドも無料、しかも参加賞もあって、表彰式のBBQへもご招待されます。その上ファルドシリーズ優勝者のグランドファイナルへの派遣は、地元カンタベリーのゴルフ育成財団が全額費用を負担してくれるんです。ビザの手配代行から、往復航空券、滞在費、エントリーフィー、食費、細かいところでは、キャディーのチップまですべて。これは子どもはもちろん親だってモチベーションが上がりますよ〜。だって、ベトナム遠征がもし自費だったら、勝っちゃたら旅費どうしよう…なんて私ならちょっと心配になっちゃいますもん(笑)。 こういうサポートシステムが出来上がっているから、ごく普通の家庭でもふところ事情を気にすることなく子ども達に思い切りゴルフに打ち込んでもらえるんですね。

 ところで、手前味噌ではありますが、うちの娘の桃花がファルドシリーズNZ大会 女子の部の初代チャンピオンなんです。もう2年前のことですが。 あの時は中国のミッションヒルズで開催されたアジアグランドファイナルへ連れて行ってもらいました。 その姉の後を追って、今回、弟の一磨がファルドシリーズに挑戦しましたが、初日悪コンディションに耐え切れず、82, 74のトータル+12でフィニッシュ。うーん、強風の中で安定したプレーをするためには、経験と、もう少し身体が成長してパワーがついてくるのを待つ必要がありそうです。そして、やはりメンタルの重要性を痛感した次第。ひとつのミスからイライラして崩れない、特殊なコンディションの中であっても一打一打切り離して目の前の一打に集中するというのが、まだまだ15才男子には難しい。確かに、ハードな練習・トレーニングを積めば積むほど、その対価として結果が欲しくなるのは人情というもの。だが、欲しいと思えば思うほど何故か結果は逃げて行く…。本当に競技ゴルフは禅問答のようですね。見守る親にとっては気持ち的にキツい時もありますが、これは誰でも通る道。親子ともども、極力笑顔で楽しみながら乗り切っていこうと思います。

 ちなみに、このファルドシリーズはエントリーに国籍制限がないので、日本のジュニアもニュージーランド大会に来年参加してみてはどうでしょうか。きっと、素晴らしい海外経験になると思います。

 

クリアウォーターのプロショップに展示されていました。ちなみに、来年のニュージーランド女子オープンはUS・LPGAの傘下となるそうです。

クリアウォーターのプロショップに展示されていました。ちなみに、来年のニュージーランド女子オープンはUS・LPGAの傘下となるそうです。

16番ホール、一磨のバーディーパット。向こう岸の白い豪邸は、Sir ボブ チャールズの邸宅。今も元気にしょっちゅうラウンドされてます、多分毎回エイジシュート達成してるかと。

16番ホール、一磨のバーディーパット。向こう岸の白い豪邸は、Sir ボブ チャールズの邸宅。今も元気にしょっちゅうラウンドされてます、多分毎回エイジシュート達成してるかと。


前日のプラクティスラウンドは良い天気だったんですけどねぇ。残念ながら初日午前の18ホールがキャンセルとなり、NZ大会は56から36ホールに短縮されました。

前日のプラクティスラウンドは良い天気だったんですけどねぇ。残念ながら初日午前の18ホールがキャンセルとなり、NZ大会は56から36ホールに短縮されました。

フェイアウェイのディボット修正はプレーヤーの役目、というのが世界の常識。サンドバケットは必ず持ちましょうね。

フェイアウェイのディボット修正はプレーヤーの役目、というのが世界の常識。サンドバケットは必ず持ちましょうね。


前日とはうって変わり、青空の広がった2日目の朝。思うに、2日目に36ホールをプレーしても良かったのではないかと・・・。

前日とはうって変わり、青空の広がった2日目の朝。思うに、2日目に36ホールをプレーしても良かったのではないかと・・・。

ファルドシリーズNZ大会、今年の女子の部優勝は、地元カンタベリーのアメリア ガーヴィー。スリクソンインターナショナルでは二年連続でドラコンを勝っている飛ばし屋。

ファルドシリーズNZ大会、今年の女子の部優勝は、地元カンタベリーのアメリア ガーヴィー。スリクソンインターナショナルでは二年連続でドラコンを勝っている飛ばし屋。


九番ホール手前の池が波立っているのが見えるでしょうか?昼前に雷雨は去ったものの、初日のラウンドは時速40kmの風が選手たちを苦しめました。

九番ホール手前の池が波立っているのが見えるでしょうか?昼前に雷雨は去ったものの、初日のラウンドは時速40kmの風が選手たちを苦しめました。

次のリディア コーと評判の高いジオン ヒュー リー(10歳)。韓国からお父さんと2人でゴルフ修行に来ているんだそうです。先月、4アンダー打ったのがニュースで流れてました。

次のリディア コーと評判の高いジオン ヒュー リー(10歳)。韓国からお父さんと2人でゴルフ修行に来ているんだそうです。先月、4アンダー打ったのがニュースで流れてました。


桃花がアメリカへ旅立った後、カンタベリーを背負って立つ(左から)ジュリアナ、ヒラリー、アメリア。3人ともにニュージーランド代表を経験している有望株。

桃花がアメリカへ旅立った後、カンタベリーを背負って立つ(左から)ジュリアナ、ヒラリー、アメリア。3人ともにニュージーランド代表を経験している有望株。


 

kobori

◆小堀亮三
神奈川県出身、1966年生まれ、中央大学仏文科を3カ月で中退後、オフロードバイクのレースに参戦するために単身渡米、その後10年に渡り住み続けることとなる。UCSD卒業(カリフォルニア大学サンディエゴ校)。ニュージーランドの広大なオフロードトレイルライディングに魅せられ、2007年、妻、娘(当時8歳)、息子(当時5歳)の家族4人でニュージーランドへ移住し1年と半年後に永住権を取得。ふとしたきっかけでニュージーランドがゴルフ天国であることにも気づき、自身もどっぷりとはまり腰を痛めることに。今はゴルフに熱中する子ども達をサポートするかたわら、ジュニアゴルフNZを運営。
職歴   オフロードバイク業界でイベント企画運営をメインに輸入卸売、コラム執筆等、多岐に渡り30年。が、ゴルフに熱中する子ども達の影響と数々の幸運な出会いにより、一念発起、50歳でジュニアゴルフNZを開業する。現在はバイクとゴルフ2足の草鞋を履き、日本とニュージーランドを行ったり来たりの生活を送っている。
活動拠点 ニュージーランドでは南島のランギオラ。日本では群馬県の浅間高原、北軽井沢
趣味   家庭菜園とブログの更新(http://juniorgolfnewzealand.blog.jp)