◆女子プロゴルフツアー フジサンケイレディス第1日(21日、静岡・川奈ホテルGC富士C)
堀琴音(21)=東芝=が前半だけで7バーディーを奪って、7アンダー65をマーク。今大会での9ホールの最少ストローク記録を1打更新(29)する会心のゴルフで首位スタートを決めた。1打差2位に吉田弓美子(29)=フリー=。2打差4位に松森彩夏(22)=スターツ=がつけた。3年ぶりの出場となった横峯さくら(31)=エプソン=は、1アンダー71で35位と出遅れた。
沈んでいた気持ちとは、もうサヨナラだ。富士山をバックに堀が自慢の笑顔を輝かせた。自己ベストを1打更新する65で首位発進。「ベストスコアはうれしかった。自信になります」と満面に笑みを浮かべた。
昨季賞金ランク11位の実力者も、今季は6戦中3試合で予選落ち。その要因は低調なショットだった。悩んだ美女は“奇策”に出る。「先週からアイアンを去年のものに替えました」。今季新調した6~9アイアンとPWの5本を、昨年のモデルへ戻したのだ。
替えたと言っても基本性能は何も変わらない。「スペックは全く同じ」でシャフトなども一緒。違いは「今年のアイアンには自分の名前が刻印されていること」だけだ。ただの気分転換にも思えるが、これがはまった。1番で2打目を1メートルに寄せると5番まで5連続バーディー。面白いようにグリーンをとらえ続けた。
土田麻衣子キャディー(39)は「繊細なことでゴルフが変わる」と驚きの表情。だが本人には“予感”があった。昨年6月のサントリーレディス。大会前まで不調にあえいでいたことから、堀はアイアンのシャフトの色だけを変えた。するとショットが復活し10位に入った。14年のプロ入り後から、自慢のショットには定評があった。ほんのわずかなきっかけで、ゴルフが変わると信じていた。
変えたのは気分だけではない。パッティングで構える際のボールの位置を修正した。「真ん中から少し左にずれていた」ことに気付いて、ストロークが安定。2番は6メートル、最終18番では2メートルのパーパットを決めるなど、勝負強さが光った。
首位発進した試合は過去に3度あるものの、いずれもV逸し3位が最高。悲願のツアー初優勝へ「攻める気持ちで行きたい」と力を込めた。プロ4年目。勝てなかった自分を変える時が来た。(高橋 宏磁)