松山英樹、ホールインワン!メジャー制覇へ「最高のおみやげ」


3番でホールインワンを決め、進藤キャディー(左)と手を合わせ喜ぶ松山(カメラ・矢口 亨)

 ◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス最終日(19日、宮崎・フェニックスCC=7027ヤード、パー71)

 世界ランク4位の松山英樹(25)=LEXUS=が、アマチュア時代を含めて公式戦初のホールインワンを達成した。通算10アンダーの5位で8打差からの逆転Vは逃したが、今季唯一の国内ツアーで7025人の大ギャラリーを沸かせ、日本のエースとして責任を果たした。来年4月の海外メジャー・マスターズ制覇へ、次元の違うゴルファーへの成長を目指す。今年6月の全米オープン覇者、ブルックス・ケプカ(27)=米国=が20アンダーで大会連覇。

 松山の1打がファンの心を震わせた。実測175ヤードの3番。8アイアンで描いた放物線は、コースを隙間なく囲む数千人の頭上を駆け抜けた。ピン約8ヤード左手前のカラーで弾んでカップへと迫る。落ちた瞬間、大歓声が耳をつんざいた。「入っちゃえと思ったら消えた。大いに沸いてくれてうれしい」。ただならぬ雰囲気に、隣接するホールからもギャラリーが駆けつけるほど。感動、驚き、称賛、逆転への期待。それぞれの感情が詰まった拍手を浴びながら、松山はグリーンへと歩いた。

 2015年1月、今年6月の練習ラウンドで決めたことはあるが、試合では初。カップの中をうれしそうに確認し、右拳を握ってから拾い上げた。国内3連勝は逃したが、日本人トップの5位。「優勝してここ(会見場)に来たかったけど、ホールインワンという最高のお土産ができた」。記念球を群衆に投げ込むと、争奪戦が始まった。

 次元の違う領域を目指している。昨季序盤は4か月で日米5勝。理想に近づき、「(メジャーで)勝てる」と世界の頂が見えた。しかし、蓋を開けると今年のメジャーは4戦全敗。今大会前のケプカを含め、世界のトップ選手は「あとは運だけ」「いつメジャーで勝ってもおかしくない」と、日本のエースを評する。それでも勝てない。「マスターズ(の重圧)で思うように打つには、今までのスイングじゃダメ」。日本人最多米ツアー5勝の力を超えるレベルが必要。「運」のせいにはしたくない。調子が悪くてもメジャーで優勝を争えるゴルファーになるために、今秋、ドライバーからパットまで全ての大幅改善に着手した。

 普段は決して満足しないが、この日の1打は「完璧なショット」と、珍しく自画自賛。今度こそ、世界を圧倒する実力が垣間見えた。次戦は2週後。「今の取り組みがつながってくれれば。もっと、もっと勝ちを増やしたい」。幼い頃に憧れたメジャー14勝のタイガー・ウッズのように―。松山の向上心は、底が知れない。(浜田 洋平)

 ◆英樹に聞く ―ホールインワンの感覚。 「フワフワするみたいな感じで。皆言ってたんですけど、初めてその感覚が分かりましたね。4番のティーショットはすごく怖かったですね。曲がるんじゃないかっていう」 ―ケプカのすごさ。 「3ウッドばかりであれだけバーディーをたくさん取れるショット力と。曲がってもそれをアプローチでしっかりカバーできるショートゲームの強さもある。米ツアーのスタッツも上位。自分との差はすごくあると思うので、少しでも追いつけるように」 ―尾崎将司との予選ラウンド同組は自ら指名した? 「今の自分のプレーを見て、ジャンボさんがどう感じてくれたか分からないですが。日本で94勝してメジャーで何回も上位に入っているので、昔のニクラウスやパーマー(ともに米国)と争っている時と比べてどうなのか聞きたいです」

最新のカテゴリー記事