◆男子ゴルフ 岐阜オープン最終日(8日、岐阜・各務原CC)
2打差の8位でスタートした石川遼(26)=カシオ=が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算7アンダーで逆転優勝した。千葉オープン(5~6日、千葉・太平洋C成田C)から“中0日”の強行軍にもかかわらず連勝。いずれも2日間競技の地区オープンながら4日間で2勝の離れ業。マスターズの“裏開催”で存在感を示した男は来年以降、世界の表舞台で戦える可能性を示した。今週は男子ツアー国内開幕戦、東建ホームメイトカップ(12~15日、三重・東建多度CC名古屋)で3連勝に挑む。
戦う場所がオーガスタでも岐阜でも関係ない。最終18番パー5。石川の第1打は3ウッドで狙い通りに約300ヤード先のフェアウェーを捉えた。残り215ヤードの第2打は6アイアンでグリーン手前カラーへ。アプローチを1メートル手前に寄せ、バーディーパットをきっちりと沈めると、2度ガッツポーズ。韓国のH・W・リュー(36)に1打競り勝ち、千葉オープンに続き、栄冠を手にした。「2日ぶりの優勝スピーチです」。気の利いたあいさつにギャラリーから大歓声が湧いた。
マスターズ開催中の5~8日、石川は千葉と岐阜で2日間競技の地方オープンを戦った。“中0日”の強行日程で出場すること自体が異例。しかも、連勝した。「いい4日間を過ごすことができた」と胸を張った。
昨年10月、石川はどん底にいた。今大会の会場から直線距離でわずか約3キロの岐阜関CCで行われた日本オープンで大会自己ワーストの97位で予選落ち。ショットは右に曲がりまくった。それから半年。「フラット(横振り)を意識した素振り」を何千回、何万回と繰り返し、スイングを修正した。「岐阜関で苦しんだ時と今ではかなりスイングが変わった」。因縁の地で復活を印象づけた。
大会主催者から「来年も岐阜に来てください」とラブコールを送られると、爽やかな笑みで応えたが、来年のこの時期にはマスターズに出場していることが理想だ。「簡単ではないが、この1年で世界ランクを上げたい。(2009年の)自己最高位の29位を超えて未知の領域に入りたい」と熱く語る。現在の203位から、マスターズ出場資格(前年12月末、あるいはマスターズ1週前の世界ランクが50位以内)を見据える。
いよいよ12日にツアー国内開幕戦の東建ホームメイトカップが始まる。今季、選手会長を務める石川は「男子プロの迫力あるプレーを見てほしい」とツアーの魅力をアピール。そして、一選手としては「勝てればいいですね」と“3連勝”へ意欲を見せた。オーガスタへの道は、これからが本番だ。(竹内 達朗)
◆石川とマスターズ 小学校の卒業文集に「マスターズ優勝」という夢を記すほど思い入れは強い。09年に日本人史上最年少の17歳で初出場を果たした。以来、13年まで5年連続で出場した。09、10、12年は予選落ち。11年は自己最高の20位と健闘した。13年は38位。14年以降、今年まで5年、夢舞台から遠ざかっている。