史上最年少の選手会長・石川遼がコース内外でみせた“改革”への奮闘ぶり


東建ホームメイトカップでサイン会を行った石川遼

東建ホームメイトカップでサイン会を行った石川遼

 今季から6年ぶりに国内ツアーを主戦場とし、史上最年少の選手会長に就任した石川遼(26)=カシオ=の国内開幕戦・東建ホームメイトカップ(12~15日、三重・東建多度CC名古屋)は優勝に1打及ばず2位に終わった。

 初日に63で首位発進し、2日目は68で4打リードした。決勝ラウンドで72、70と思うようなプレーができずに悔しい結果となったが、本人は「ベストを尽くした結果」と明るい表情で前向きに話した。

 開幕前からコース内外で“活躍”した。10日に選手約100人を集めて開催した今年初の選手会総会では「新たに取り組みたいことがあるので、皆さんご協力お願いします」とあいさつし、独自の改革案を掲げた。

 ◇ピンフラッグの販売

 ◇ギャラリープラザ(飲食スペース)で選手インタビュー

 米ツアーを参考にし、自ら発案したピンフラッグの売れ行きは好調で、多くのファンがサインを求める列を作った。ギャラリープラザでの“お立ち台”では石川会長自ら、第1R後に実施し、即席インタビューでファン200人を盛り上げた。昨季下部ツアー賞金王で売り出し中の大槻智春(28)を伴い、フレッシュな選手の知名度アップにも一役買った。最終日を終えて「会長としては、申し訳ないですが、これ以上はできない。選手としても100点です」と、ともに満点の自己採点をしたのもうなずける奮闘ぶりだった。

 当然、忙しくなることで練習時間が削られる懸念はある。開幕前日の11日は、午前10時に日本ゴルフツアー機構の青木功会長(75)らと恒例の鏡開きに登場し、ファンの前で「国内開幕」を高らかに宣言した。それから、俳優の中村雅俊(67)らと同組でプロアマ戦を回り、表彰式を終えてコースを後にしたのは真っ暗な午後7時過ぎだった。

 実はここから約1時間、会場近くの練習場で球を打っていたというのだから、それだけ勝利への執念を燃やしていたということだ。翌日(第1R)は早朝スタートにも関わらず、だ。

 第3Rではこんなシーンがあった。石川がすでにパットを終えた2番グリーン上で、同組の時松隆光(24)がギャラリーの雑談の声の影響を受けて、1メートルのパーパットを仕切り直す場面があった。すると、石川が「打つときは静かにお願いします!」と一言発した。人気選手ゆえに、自らを見に来たであろう観客が選手に迷惑をかけないよう、さわやかに静粛を促した。

 2月にジュニアゴルファーの前で講演した際に、こんなことを言っていた。「同組で誰かひとり機嫌が悪くなると、組の雰囲気が悪くなる。組全体を大事にするように」とアドバイスした。言葉通りの気遣いを、真剣勝負の場で見ることができた。

 今大会では、スコアが大崩れした選手でもファンの呼び掛けで気軽にサインに応じる姿が見られた。女子ツアーでは当たり前のことだった。男子ツアーの人気回復には、男子プロのホスピタリティー向上が欠かせないと実感した。ギャラリー数を見れば、最終日が荒天の影響で前年比で2000人以上落ち込んだ中でも、4日間通算では同604人上回った。“石川効果”の波及に、これからも注目したい。(記者コラム・ゴルフ担当 岩原 正幸)

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