17日に閉幕した米男子ゴルフの全米オープン(米ニューヨーク州シネコックヒルズGC)で松山英樹(26)=LEXUS=は16位に終わり、日本男子初の海外メジャー制覇はならなかった。
初日は75で46位と出遅れたが、2連覇したブルックス・ケプカ(28)=米国=も同じ。ケプカが2日目以降に66、72、68(通算1オーバー)としたのに対し、松山は70、79、66(同10オーバー)。超高速グリーンで4パット2回と精彩を欠いた3日目が響いた格好だ。
最終日に4日間で自己最高となる66をマークし、54位から16位に巻き返す意地を見せた。だが、最終組のスタート前に早々とホールアウトし、一度も優勝争いに絡めなかったこともあり、笑顔はなかった。
米ツアー3勝を挙げ、今大会のテレビ解説を務めた丸山茂樹(48)は開幕前日の13日、松山の状態を気に掛けていた。「以前よりもいろんな意味で苦労している。けがの後から自分自身を少しずつしか取り戻せていない。モチベーションとか自信を若干失いつつあるので、何かのきっかけ作りが大事になる」と分析し、「けがした年はそんなもの」と言った。
2月に左手親指付け根を負傷し、約1か月半、戦線を離脱した。4月の今季メジャー初戦、マスターズ(19位)では2日目に左手首痛を発症するなど、本調子ではなかった。長年、左手親指痛に悩まされている丸山だけに松山の気持ちはより理解できるのだろう。
「以前よりも少し愚痴っぽいというか、難しさを強く語っている部分がある。(フェアウェーが)狭く見えるというのは調子から。またどこかで乗り越えられたら、そういうコメントも出なくなるし、良くなる。そんな時もあるよね、と歩きながら話したんだ」と語っていた。
松山は16―17年シーズンに米ツアー3勝を挙げ、メジャーでも全米オープンで日本人のメジャー最高成績に並ぶ2位に入り、世界ランクは2位まで上がった。8月の全米プロでは最終日まで壮絶な優勝争いを演じて3打差5位となった。年4回チャンスのあるメジャーVは、かみ合えば、という期待感もあった。
現在は「今日は良かったが、明日になってみると分からない」(全米OP最終日コメント)と、調子を取り戻そうともがき続けている。今大会は強風に加え、厳しいピン位置の難条件にも「選手は与えられた場所でやるしかない」と一切の言い訳をしなかった。丸山の言う、壁を乗り越えた時、松山はどんな姿を見せてくれるのか―。今季、残されたメジャー初優勝のチャンスはあと2回(7月・全英オープン、8月・全米プロ)もある。(岩原 正幸)