これまで5回にわたり、南出仁寛プロ(40)が、飛ばすために必要な筋肉の鍛え方やストレッチ法、そして正しいアドレスなど飛距離アップに必要なポイントを話してきた。今回は、飛ばしの最大のキモとなる「体重移動」について独自のメソッドを語る。
初回のスイング解説で、トップの位置はオーバースイングでOKだと話しましたね。今回は、「オーバースイング=飛ぶ」メカニズムを話したいと思います。
飛ばしの最大のキモはずばり、体重移動。アドレスからフィニッシュまで、頭の位置が変わらないスイング、いわゆる横の体重移動が正しいと言われていますが、飛ばしに関してだけ言えば、これは正解ではありません。確かに頭の位置を変えずにスイングすれば軸が定まり、ミート率が上がるので方向性は格段に上がります。
しかし、方向性+飛距離を求められるのが僕たちドラコン選手。そこで、僕が見いだしたのが上下の体重移動です。クラブを上に上げる、つまりオーバスイングにすることですべての重力を下(ボール)にぶつけることができると考えました。
まずは以前に話したように正しく構え、テイクバックで体を回転させながら右の膝を伸ばしていきます。これにより、左右にブレない軸の通った大きなトップになります。通常のトップ位置に比べてかなり手が高い位置にあるのが分かりますね。このときに注意する点は、手だけでクラブを上げようとするのではなく、体全体を回転させながらリズムよく上げていくこと。手だけで上げるとリズムが速くなり、体がしっかりと回転する前にダウンスイングからインパクトを迎え、体が開いてカット軌道になり、スライスになるので飛びません。
次に、ダウンスイングからインパクトにかけて、頭の位置がアドレスの時よりも下にくるように、体重を下に移動してください。これにより、高い位置から一気に下にクラブを振り下ろすことができます。当然のことながらヘッドスピードはアップするので飛距離も伸びます。これは斧(おの)を肩の高さから腰の位置まで振り下ろすのと、頭の上から膝のあたりまで振り下ろすのとでは、パワーが全然違うのと同じ理論です。
ただし、いつもとは違うリズムなので手打ちになりやすいので、練習を重ねてきちんと芯でミートできるようになることが大切。自分の飛距離に限界を感じている人は、上下の体重移動を試してみてください。まだまだ飛ぶはずですよ。(次回は簡単にできるヘッドスピードアップ法です)
◆南出仁寛(みなみで・きみひろ)1978年1月6日、大阪府出身。40歳。父親は漫才師のオール巨人。ドラコンプロでありPGAティーチングプロ。キャロウェイゴルフスタッフプレーヤー。06、08年と10から17年まで8年連続でドラコン日本選手権で優勝。13年の世界大会では432ヤードの日本記録を更新し、アジア人初の世界大会10位に入賞した。サンテレビ「マダムシンコのゴル友!」(毎週月曜日午後11時から)に出演中。プライベートレッスンも随時受付中(詳しくは「南出仁寛」で検索)。身長178センチ、体重72キロ。血液型B。