岩橋里衣は苦労人ゴルファーじゃない 明るいキャラのおてんば娘


岩橋里衣

岩橋里衣

 女子プロゴルフツアーメジャー第2戦、日本女子プロ選手権(富山・9月5~9日)の第3日。岩橋里衣=フリー=は4バーディー、3ボギー、71の通算6アンダーで日本人最高の3位につけた。3位タイに終わった6月の宮里藍サントリーレディス以来、今季上位で最終日を迎えたのは2度目だった。「楽しくラウンド出来ているのが一番かな」と無邪気な笑顔を振りまいた。

 プロ4年目の32歳。7度目の挑戦でプロテストを突破した苦労人だ。埼玉平成高ゴルフ部を卒業し、プロになるまでの10年は、ハウスキャディーや研修生を務めながらゴルフに取り組んだ。岩橋は「正直、そこまで本気じゃなかった」と振り返る。

 25歳の時に周囲の人と食事に出かけ、話し込むたびに、自分自身を見つめ直すようになった。「私はいったい何がしたいんだろう?」。約1年考え、ついに答えにたどり着いた。「私がお金を稼ぐためには、ゴルフしかない。プロゴルファーになりたい」

 その後も変わらずハウスキャディーを続けながらゴルフに打ち込んだが、目標が明確になった岩橋の目の色は以前と違っていた。25歳の転機から3年たった2014年。7度目のプロテストに臨み、ついに合格。味わったことのない喜びをかみしめた。

 日本女子プロでは、初日に6番パー3で人生初のホールインワンを達成。第3日も6番では10メートルのロングパットを沈めた。同組で回り、9月24日に発表されたリランキングでも首位に立った20歳の小祝さくらが注目を集める中、岩橋はギャラリーを沸かせた。3位から出た最終日はパターが乱れ、通算3オーバーの36位タイに終わった。「キャディーさんにショットは(優勝した)申ジエさんよりいいんじゃないかと言われてたのに、パットがねえ…。でも(今大会は)自信になりました」とすでに前を向いていた。

 「25歳でやり直したんで、ゴルフ人生はそんなに長くないと思ってるんですよね。まあ…年齢は結構いってますけどね」と笑って見せる岩橋は、現時点の目標を「ツアー初優勝、初のシード権獲得…。私、ビビリなので、出る試合すべてにおいて一生懸命頑張るだけです」と打ち明けた。

 ツアー転戦中は広い部屋を求めて民泊も利用するため、“民泊ゴルファー”とも呼ばれる。「ビジネスホテルよりも、ストレッチとかして足を伸ばせる空間の方がよくて」と真剣な表情で答えたものの、「散歩したり実は楽しんでいますけどね」と笑顔で語る。苦労ばかりがクローズアップされがちだが、悲壮感はみじんもない。記者は「32歳のおてんば娘じゃないか!」と心の中で叫んだ。記者と同郷の埼玉県出身、岩橋の挑戦を見続けていきたい。(記者コラム 宮下 京香)

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