女子ゴルフの山口すず夏(18)=東京・共立女二高3年=が昨年12月25日、プロに転向した。宮里藍、畑岡奈紗に続く3人目の女子高生プロが誕生。17日に都内で転向の経緯や不動産大手「環境ステーション」との所属契約を発表する記者会見が開かれた。
場内は緊張感に包まれた。壇上の山口は何度か言葉を詰まらせながら、周囲への感謝、プロとしての意気込みを語った。終了後、空気は一変。サプライズで山口の同級生のいつものメンバー、“イツメン”4人が登場したのだ。
同校ソフトボール部で投手を務める江藤賀菜さんが代表で山口へつづった手紙を読む。同部で遊撃手の美河早紀さんが直前までクラスメートからメッセージを集めたという色紙を手渡す。セカンドの佐藤有里さん、バスケットボール部の浦田真優さん(いずれも3年)が花束を。“青い高校生活”が終わりを告げようという5人の目には光るものがあった。チャットモンチーとともに「サラバ青春」した記者は、つい懐かしい気持ちになり、イツメンに声をかけた。
「“プロになる”とみんなは前々から聞いていましたか」。そう尋ねると、意外な言葉が返ってきた。「ちょっと聞いて下さいよ。私たち25日に会っていたのに、次の日のたかみなのラジオで知ったんです(笑い)」。山口がプロ転向した夜。5人は山口の家に集まりクリスマスパーティーを開催。山口の父・裕之さんが腕を振るったチキン、すし、ケーキなどを食べて普段の楽しいひとときを過ごした。
翌日の昼下がり。それぞれがラジオをつけると、TOKYO FM「高橋みなみのこれから、何する?」に山口がゲスト出演。番組内で「プロゴルファーの山口すず夏さん」と紹介があり、「え!」と4人は目を丸くした。だが、美河さんは「すずは普段、ゴルフの話はしない。最初は驚いたけど、すずらしい」と明かした。
2年の冬休みには5人でディズニーランドに出かけた。クラスや部活動(山口はゴルフ部に所属)が違っても学校ではずっと一緒にいた。「ばかな話しかしないけど、本当に楽しい」と、思い出は数知れない。「卒業したらアルバイトしてお金ためて、絶対にアメリカへ応援に行く。東京オリンピックに出て金メダルを取ってほしい」と4人はうなずく。山口も海外遠征の合間を縫って卒業式に出席する予定だ。
プロゴルファー、大学生と、5人はそれぞれの道に進む。5年後、10年後、いまと同じように笑い合えたらいいね。(宮下 京香)