◆米女子プロゴルフツアー 起亜クラシック最終日(31日・米カリフォルニア州アビアラGC)
1打差2位から出た畑岡奈紗(20)=森ビル=が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算18アンダーで逆転優勝。日本人最年少で米ツアー3勝目を挙げた。
首位から出た朴仁妃(韓国)ら2位に3打差をつけた。日本女子の3勝は野村敏京(26)=Qセルズ=に並び歴代4位(5人目)。次戦のメジャー・ANAインスピレーション(4日開幕、カリフォルニア州ミッションヒルズCC)制覇に弾みをつけた。
拍手に包まれる中、18番で50センチのパーパットを決めた畑岡は、キャディーのグレグ・ジョンストン氏と抱き合った。「自分のプレーに徹することができた。こういう結果は想像できなかったが、日に日にショットが安定した」。強さを示す内容で3勝目を手にした。
1、3番で伸ばして単独首位に立つと、10番までに4バーディーを奪った。勝ちが見えた16番で第1打を池に入れてボギー。だが、「私はまだ3年目で20歳。常に挑戦者」と気を引き締めて臨んだ17番。バーディーでメジャー7勝の朴を突き放した。スコアボードを「吐きそう」になりながら確認すると3打差。やっと重圧から解放された。
20歳の若さでの米ツアー3勝は、17年4月に24歳5か月で勝った野村の記録を更新して日本人最年少。昨年2勝はいずれも3日間大会で、今季メジャーを見据えて目標に掲げていた4日間大会制覇を達成した。オフに日本ゴルフ協会(JGA)が宮崎市で開催した合宿を訪ねた。「長く力を出すにはどうしたらいいか」。体を支える栄養学を受講。今大会は2日目後半から一気に調子を上げた。
今季からバッグを担ぐジョンストン氏は元世界ランク1位のロレーナ・オチョア(メキシコ)らと組むなど経験豊富。畑岡は全て英語でやりとりするなど、着実に成長を見せている。
世界ランクは日本勢最上位の7位(3月26日付)で、来年夏の東京五輪代表枠争い(同6月末の世界ランク上位2人)でも頭一つ抜ける。次戦は、年5回しかないメジャーの初戦、平成最後のメジャーとなるANAインスピレーションに挑む。
狙うは1977年樋口久子の全米女子プロ以来、日本人42年ぶり2人目のメジャー制覇。試合後、日本の中継を見つめて新元号を確認すると「米国にいると実感がない。でも、平成最後にメジャーで勝ちたい。令和になっても活躍できるよう、頑張りたい」と力を込めた。
◆畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年1月13日、茨城・笠間市生まれ。20歳。11歳でゴルフを始め、2014年日本ジュニア2位。15、16年世界ジュニア優勝。16年全米女子アマ8強。16年秋に日本女子オープンで17歳で史上最年少優勝し、プロ転向。17年大会で連覇。米ツアー参戦2年目の昨年、米ツアーで2勝。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来。家族は両親と妹。158センチ。