プレーオフを制して初優勝した原英莉花は、ガッツポーズでギャラリーの声援に応えた（カメラ・谷口 健二）
◆女子プロゴルフツアー リゾートトラストレディス 最終日（２日、浜名湖ＧＣ＝６５６０ヤード、パー７２）
首位と２打差の３位で出た原英莉花（２０）＝日本通運＝が、ツアー初優勝を飾った。同組で韓国のペ・ソンウ（２５）＝Ｓａｍｃｈｕｌｌｙ＝と通算１４アンダーで突入したプレーオフ（ＰＯ）の２ホール目でバーディーを奪い、勝負あり。男子ツアー歴代最多９４勝の尾崎将司（７２）を師匠に持つ美人プロは、「すごく意味のある１勝」と、うれし涙を流して喜んだ。１９９８年度生まれの女子「黄金世代」では７人目の優勝となった。
２メートルのウィニングパットを決め、原英は右手を大きく突き上げた。涙の初優勝。拍手を浴び、「ホッとしたというか、すごいうれしいというか…。遅いような早いような、すごく意味のある１勝」と、喜びをかみしめた。２打差の３位で出るといきなり３連続、１４番からは４連続と７バーディーを量産。２打差を逆転して首位に立ち、１８番、１５番でのペ・ソンウとの一騎打ちＰＯも、最後はバーディーで制した。
身長１７３センチのスタイルとクールビューティーぶりで人気だが、「黄金世代」の中で決してエリートではなかった。ジュニア時代の目立った成績は、高１時の神奈川県ジュニア優勝ぐらい。全国では中２時の９位が最高で、「全国大会に私が出たら『誰？』って感じで名前すら知らなかったと思う」と振り返る。これで逆に同世代を意識しすぎず、「自分には自分のルートがあり、やるべきことがある」と思えるようになった。足元を見つめて戦い続けられていることが強さでもある。
プロ入り後も、なかなか結果を残せなかった時、師匠の尾崎からの言葉が支えになった。プロテストに合格できなかった時は、「まだ２０歳にもなっていないじゃん」と励まされ、ツアーで思うように上位にいけない時には、「まだ実力が足りていないのが分かっていない」と叱られた。今年の目標として賞金女王を挙げた際にも、「大きな目標じゃなくて、目先の目標を決めろ」と返され、「だからまずは１勝と思ってずっと取り組んできた」と原英。偉大な師匠とつかんだ初Ｖに、「スキップして１勝しました♪と報告します」と笑った。
次の目標を問われ、「大事なのは２勝目なので早く挙げないと」と、表情を引き締めた。賞金ランクは１２位に上昇。将来は海外挑戦も考え、６月末までの同５位以内に与えられる全英切符も「頑張ります」と、積極的に狙っていく。さらなる夢に向かい、挑戦はまだ始まったばかりだ。（筒井 琴美）
◆原 英莉花（はら・えりか）
▽生まれとサイズ １９９９年２月１５日、神奈川・横浜市。２０歳。１７３センチ、５８キロ。
▽ゴルフ歴 母の勧めで１０歳から始める。湘南学院高１年時、尾崎将に弟子入りし、１８年プロテストに２度目の挑戦で合格。昨季はトップ１０に５度、賞金ランク３８位で初シード。
▽得意クラブ ９アイアン。
▽巨人・原監督と交流 高２の時に関係者を通じて知り合い、ラウンドや食事をともにしたことも。「たくさん本を読みなさい」と助言された。
▽マイブーム タピオカミルクティー。５月のパナソニック・レディース後、千葉市内のタピオカ専門店に約３０分並んでゲットした。
▽マネジャー 通算１勝の川岸史果（２４）の姉・紘子さんが今季から帯同。先週の下部ツアーで優勝した史果に続いた。