４番をパーセーブし笑顔でピースサインする菅沼菜々（カメラ・今西 淳）
◆女子プロゴルフツアー アース・モンダミンカップ第１日（２７日、千葉・カメリアヒルズＣＣ＝６６２２ヤード、パー７２）
１９９９年度生まれの通称“谷間の世代”で、ツアー本格参戦１年目の菅沼菜々（１９）＝ニトリ＝が５バーディー、ボギーなしの６７で初の首位に立った。一時は無気力症候群を発症した影響でゴルフから離れたが、大好きなアイドルグループを支えに復活し、同世代で初の優勝を狙う。黄金世代で通算１勝の原英莉花（２０）＝日本通運＝を含む４人が首位に並んだ。
あどけない表情の１９歳・菅沼は落ち着いたプレーで初めて首位に立った。洗口液モンダミンの液体を「意識した」という緑のウェアを身に着け、前半１６番で６メートルを沈めると、後半２番も１１１ヤードからウェッジで３０センチに運ぶバーディー。強風の中でも「結構バーディーを狙える位置につけられた」。前週は股関節痛で欠場したが「もう大丈夫。ゴルフの調子もいい」とうなずいた。
高２の冬に、物事に対して無関心、投げやりになってしまう現代病の一種「無気力症候群」に陥った。原因が分からず病院を５つも回った。半年以上、ゴルフから離れたが、２０１７年５月に練習を再開すると、約３か月後には日本ジュニアを制覇。再びゴルフを始めるきっかけとなったのが、もともと大好きだったジャニーズのアイドルグループ「Ｓｅｘｙ Ｚｏｎｅ」のライブに行ったことだった。「私も頑張らなきゃ、と思った」。お気に入りの佐藤勝利（しょうり、２２）の写真をヤーデージブックにしのばせる。
現在はゴルフへの情熱を取り戻したが、症状を発症したのを境に「飛行機、電車など乗り物が嫌いになった」と語る。少しずつ克服しつつあるが、飛行機を使う遠征はまだできない。出場資格のあった開幕戦ダイキンオーキッドレディス（３月、沖縄）は「船で行くと２戦目（高知）に間に合わないから」と回避し、夏の北海道の試合には新幹線を使う予定だ。
首位に４人が並ぶ混戦だが、９９年度組では初優勝のチャンス。１つ上の９８年度組の活躍に押されているが、「黄金世代についていきたい。同学年では『谷間って言われているから頑張ろうね』と言っている」と菅沼。今週の目標は５位以内だった。「行ける時にどんどん行きたい」と苦難を乗り越えた経験を胸に、上を見据えた。（岩原 正幸）
◆菅沼 菜々（すがぬま・なな）２０００年２月１０日、東京・立川市生まれ。１９歳。６歳からゴルフを始め、埼玉栄高３年の１７年日本ジュニアで優勝。昨年７月のプロテストに一発合格。昨年末の最終予選会で１３位に入り、今季は賞金ランク５６位（約６１３万円）。１５８センチ。家族は父・真一さん（５１）、母・めぐみさん（４８）。