渋野日向子、全開チャージ!後半3バーディー…前夜38度の発熱も食べて寝て治った


18番へ移動中、ファンに笑顔で手を振る渋野(カメラ・中島 傑)

18番へ移動中、ファンに笑顔で手を振る渋野(カメラ・中島 傑)

 ◆女子プロゴルフツアー 北海道meijiカップ第2日(10日、北海道・札幌国際CC島松C)

 前週のAIG全英女子オープンで、日本女子2人目のメジャー制覇を果たした渋野日向子(20)=RSK山陽放送=は11位で出て3バーディー、1ボギーの70をマーク。通算4アンダーで首位と5打差の9位に浮上した。前夜の38度の発熱を乗り越え、得意の後半9ホールで3バーディーを奪い、6月から続く連続イーブンパー以上ラウンド(R)を20に伸ばした。67で回った韓国のぺ・ソンウ(25)=Samchully=が、9アンダーの単独首位で初優勝に王手をかけた。

 体調不良も若さで吹き飛ばし、“シブコフィーバー”の主役は笑顔で演じきった。最終18番。渋野は2・5メートルのバーディーパットを決めると、グリーンを取り囲む観客席から大喝采を浴びた。連続イーブン以上のR記録は歴代8位に並んだ。「風のある中でもアンダーパーを出せたのはよかった。(明日も)連続記録を重圧に感じることなく、いつも通りの攻めのプレーができれば」とほほ笑んだ。

 前日9日の第1R後、38度の発熱。練習をせずにホテルに戻ると眠りについた。地元の医師に連絡を取った母・伸子さん(51)が購入した、ドーピング検査に違反しない薬を服用。心配した知人の和食店から弁当の差し入れがあり、好物のトウモロコシの天ぷら、アスパラガスなどに舌鼓を打ち、「白飯も全部食べました」とぺろり。栄養も補給して再び床に就き、翌朝まで計10時間眠った。10日朝には熱が35度台に下がり、笑顔も戻っていた。

 第2Rのハーフターン休憩は、10日が誕生日だった親友・大里桃子(21)と談笑してリラックス。得意の後半、エンジン全開となった。15番で2メートルのスライスラインを沈めて初バーディー。次のホールへ移動する際、子供たちとハイタッチ。16番も4メートルを決めて連続バーディーを奪った。

 全英から2戦6R連続で、10番からの計54ホールはボギーなしの24バーディー。後半の驚異的な強さを「何なんでしょうねぇ。自分に重圧を全くかけていないのがいいのかも。注目されても何とも思っていないし」と豪快に笑った。門田実キャディー(49)は「修正能力があるんでしょうね」と分析した。

 ホールアウト後は約40分間のパット練習。子供向けにサイン会も行い、午後4時過ぎにコースを後にした。首位と5打差。日本女子初の海外メジャー→国内2連勝がかかるが、渋野は「これで優勝できたら本当にやばいと思う。トップ10に入れれば上出来。今のところ、想像以上です。調子に乗らずに頑張ります」。幾多の奇跡を起こしてきた“スマイル・シンデレラ”が、凱旋試合の最後を笑顔で締めくくる。(榎本 友一)

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