20年東京五輪韓国女子代表の朴セリ・チームリーダー(TL、41)と、日本代表女子・服部道子コーチ(50)が16日、五輪テスト大会として行われたアマチュアゴルフの日本ジュニア選手権を視察した。メジャー5勝の朴TLは、AIG全英女子オープンで日本女子42年ぶり2人目のメジャー優勝を遂げた渋野日向子(20)=RSK山陽放送=を東京五輪での韓国勢のメダル争いのライバルとして警戒。服部コーチは今月2度、自ら霞ケ関CC東Cを回り、五輪に向けた猛暑対策を講じる考えを明かした。
世界最強・韓国女子ゴルフ界の伝説的カリスマが、日本の“スマイル・シンデレラ”に警戒を強めた。朴TLは前日から2日間、五輪テスト大会を視察。この日、日本の報道陣から朴TLと同じく20歳で初メジャーを制した渋野の東京五輪でのメダル獲得の可能性について聞かれると「そうなると思いますね。メジャーを取ったので、チャンスがあるでしょう」とメダル争いのライバルに挙げた。
海外メジャー5勝の世界的レジェンドは約2週間前、全英女子オープンを韓国でテレビ観戦した。「(渋野は)感情のコントロールがうまい。自然にやっているのか、ルーチンなのか笑顔でリラックスしていた。メジャーの最終日は精神状態のコントロールが難しいが、重圧を楽しむような姿がとても印象的。リーダーボードを見ながら、あれだけ自分のプレーができるのは驚き」と極度の重圧の中、笑顔でプレーし続けた渋野に驚嘆した。さらに「スイングスピードが速い。メジャーの最終日に首位に立っても、積極的なプレーができていた。日本では間違いなく一番のスーパースターになる」と大絶賛した。
世界ランク1位の高真栄(24)ら、韓国女子は同12位以内に最多6選手が居並ぶ。女子の世界最強国は16年のリオ五輪で朴仁妃(31)が金メダルを獲得。東京五輪でも最多4人の出場&複数メダル獲得が有力視される。「金メダルを期待されているが、選手は出るだけで大変な重圧を受けている。私の口からは重圧をかけたくない。集中できる環境を整えるのが私の仕事」と朴TLは冷静に話した。
歩いて五輪コースも見て回った。「フェアウェーは広いがグリーンに起伏があり、グリーンを狙うショットが厳しいホールが多い。正確なショットが求められる。グリーン周りがカギ。ショートゲームが得意な選手が有利かなと思うが、マネジメントが大事」と朴TL。1年後、このコースで笑うのは誰か。(榎本 友一)
◆朴 セリ(ぱく・せり)1977年9月28日、韓国・大田生まれ。41歳。14歳からゴルフを始め、アマ時代は通算30勝。96年にプロ転向。米ツアーに本格参戦した98年全米女子プロで韓国人初のメジャー制覇、全米女子オープンも優勝。昨年の全英女子オープンでもメジャー制覇。昨年は賞金ランク2位。米ツアー通算25勝。16年リオ五輪ゴルフ韓国女子代表監督。16年10月に現役引退。168センチ。
◆服部 道子(はっとり・みちこ)1968年9月8日、愛知・日進市生まれ。50歳。愛知淑徳高1年時の84年日本女子アマを大会史上最年少(当時)で優勝。85年には全米女子アマを大会史上最年少(当時)で優勝。87年全米女子オープン21位で日本人初のベストアマを獲得。91年にテキサス大卒業後、日本のプロテストに合格。93年にツアー初優勝。98年には賞金女王に輝く。09年に結婚、13年に長男出産。12年を最後にツアーに参戦していない。通算18勝。168センチ、59キロ。