煩悩ゴルフ/つねかねこうじ<2> 那覇ゴルフ倶楽部


 「酷暑の日本、全国で最も涼しいのは沖縄!真冬もダントツに温かい!」
煩悩が私に呟く。。。 「沖縄は、年間を通じて快適ゴルフができる!
我が家から空路片道たったの3時間!
マイレージを使えば往復はタダみたいなもん!
沖縄に住まいがあれば、家族皆で行き放題!
妻も娘も大喜び!」

 

 「そうだ、マンションを買おう!」
煩悩に支配された私は、いつもの私ではない。即、行動!
物件漁って、注文書に実印ポーン!衝動買い!

 

 「さて、何て妻に説明しよう」
煩悩から覚めた。隠し通せる訳がない。当たって砕けろ!

 

 「私は行かないからね!」
当たって砕けた!
買ってから、もう15ヶ月。
未だに、一度も、妻も娘も沖縄のマンションには来ていない。
私が買ったのではない、煩悩が買わせたのだ。。。

 

那覇空港へランディング


 煩悩ゴルフ<2>は、マンション衝動買いの流れでメンバーとなった那覇ゴルフ倶楽部。
2012年第77回日本オープンゴルフ選手権開催、コースレート74.5の難コース。
1度プレーしただけの衝動買いだったが、素晴らしいコースだ。

 

 那覇空港から車で30分。
大阪伊丹空港を朝8時15分発の飛行機に乗れば、お昼前には、1番ティーグラウンドに立てる。フェアウェイの遠く向こうに新緑の樹木、その奥に広がるエメラルド色に光る太平洋、そして、水平線で区切られた南国の青空。この青空に向かってティーショット。
力んでミスショットが多い。が、この第1打だけは、いつも爽快だ。

 

スタートホールから見たクラブハウス
  

南国の青空、太平洋をバックに鎮座する難解1番グリーン


 高低差14mのフラットな高台。
頭上には、太平洋からの潮風が、強さも向きも自由気ままに吹き抜ける。
真夏に肌へ突き刺す太陽の灼熱を、汗と共に肌から払う涼風。ひ弱なショットをロングドライブに変身させる神風。ボールをムカつく方向に蹴散らかす魔風。
南風、東風、疾風、突風、狂風、あらゆる風が吹き荒れる。

 

 13番バックティ439ヤード、長めのミドルホール。
神風が吹けば、私でもセカンドユーティリティで2オンしたことがある。アゲインストの魔風だと、会心のドライバー、スプーンを奇跡的に続けても100ヤード近く残ることがある。

 

 フェアウェイとラフの境には、多くのガジュマルの樹。多数に分岐した太い幹、そこから褐色に垂らした気根、楕円形で肉厚の葉が繁茂、それらが行く手を大きく阻む。
そして、高くそびえ立つナンヨウスギ。超えて行くボールを遮り、その野球のグローブのような形をした葉で、ナイスキャッチ。落ちて来ない。
癒しの樹木は、邪・魔物に化ける。

 

スタートホール前の練習グリーンに広がるガジュマルの樹

ガジュマルに阻まれたボールを探すKさん、見つかった!


2番グリーンの手前にそびえ立つナンヨウスギ

ナンヨウスギの野球グローブのような葉


 整備されたフェアウェイと対照的に、アフロヘアーのように絡みつくラフのティフトン。フェアウェイを外したが最後、ティフトンがボールをすっぽりと隠し込む。2~3m離れたら見えない。まるで神隠し。それがグリーン周りまで続く。

 

 グリーンオンを狙ったショットやアプローチが、グリーン周りのラフに落ちれば、ティフトンがくわえ込み、グリーンに転がり上がらない。
上手くグリーンに落ちたとしても、カッチカチの高速グリーンが弾き返し、転がし、奥のラフへ誘い込む。どちらにしても、厄介なアプローチが残る。

 

 七転八倒の末、たどり着いたグリーンは、トリックアート。
茎も葉もゴワゴワで遅く見えるバミューダ芝(チャンピオンドアーフ)は、超高速、かつ、目が強い。
上り坂を転がり上がる。下り坂はいつまでも転がり続ける。マジックショーだ。

 

 爽快な第1打は、決して続かない。
ホールが進むごとに、心の中で「なんでやねん!」が繰り返される。
何度何度も押し寄せる。口から漏れ出てしまいそうだ。
紳士の仮面が剥がされそうになるのを、根性で踏ん張る!
沖縄は、北海道と同じ18ホールスループレー。一息入れる間もなく「なんでやねん!」が増幅、葛藤する。

 

 「なんでやねん」が「南無阿弥陀仏」になるのはいつの日か!
煩悩ゴルフ、菩提への道険し!

 

<付録>
那覇ゴルフ倶楽部は、コースも凄いが、メンバーの方々の個性も凄い!

東京出身のKさん5?歳
昨年の那覇GCでのプレー日数194日。1日3ラウンドも多数で、総ラウンド数は220~230との事。私が来沖時には、ほぼ全て一緒にプレーして頂いている。感謝。

沖縄返還直後に移住したNさん72歳、
那覇GCで、1日4.5ラウンドの記録を持つ。日の出と共にスタートし、3ラウンド後、日没までに何ラウンドプレーできるか挑戦を決め、それをコースも支援してくれたとの事。おおらかなコース運営だったようだ。先週もご一緒させて頂いたが、5連チャンしていた。(私は4連チャンで帰阪)

東京コンビニオーナーのOさん76歳、
今年の正月明けから3月まで、奥様とオーストラリア旅行。その最中にマンションの衝動買い。「豪ドルは、1ドル80円やから2割引と同じや!」と訳の分からないことを言いながら、5月GW明けに日本製炊飯器を片手に奥様と片道切符で出かけた。まだ、帰って来ない。衝動買いのレベルが凄過ぎる。

 

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常包浩司(つねかねこうじ)プロフィール
eBASE株式会社/証券コード3835 代表取締役社長
1957年3月20日生 62歳 香川県出身
ゴルフ歴35年 ホームコース:有馬ロイヤルゴルフクラブ
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