◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(7日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
今平に正念場がやってきた。首位に2打差で迎える最終日に狙うのは逆転優勝、2年連続の賞金王。ごく限られるがノリスに逆転の目もあり、日本代表として今平には自力優勝がノルマだ。
「ここまで来たら逆転したい」と、今平は絞り出した。この日、4回の3パットを含む33パット。もったいない内容さえ克服すればとの思いを、最終日にぶつけたいと力んだ。ノリスは「カジュアル(普段通り)にいこうとキャディーの弟と話し合った。ここまで頑張ったことで満足。それ以上を求めないよ」とリラックス。実はこれが怖い。ゴルフでは、無欲こそ何かを生むキーポイントであることは、時代が証明している。
1987年の24回大会だった。当時は大阪で2日間36ホール、東京に移動して後半36ホールのシリーズ前期時代。大阪の第1ラウンドと東京の最終ラウンドが雪で中止となり36ホールの短縮開催。チャンピオンには青木功、デビッド・イシイの2人が座った。その年、日本ツアーは賞金ランクに初めて外国選手を迎え入れ、米国籍、日系3世のイシイはシリーズ初出場、初優勝。さらに歴史に残る初の外国人賞金王となった。外国勢のシリーズ優勝は他に台湾、インド、豪州、韓国で合計5人、賞金王はイシイの他、韓国勢の2人の計4回だけである。
56回を迎えた今シリーズは、初めて外国勢が16人と日本勢(14人)を上回り危機感を持った。さらに、本来なら、11月の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー史上4人目のアマチュア優勝を果たした金谷拓実(東北福祉大3年)が出場するはずだった。しかし、同大会前に来年の全英オープン予選を兼ねたオーストラリアオープンに出場登録をしており、石川、松山以来のアマ出場は見送られた。
シリーズは時代と共に大きく変わった。ノリスは南アフリカ出身でシリーズは今年で3年目。外国勢の多さをこう分析した。「日本のコースは世界レベル。競技環境が良く五輪が開かれるなどモチベーションが上がって、これからもどんどん世界中から選手が集まるだろう」―。
「今平よ、今大会に勝つべし」とノルマを課した根拠である。頑張れ、今平、頑張れニッポンとエールを送るゆえんである。(ゴルフジャーナリスト)