日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は3日、今季初戦として、アース・モンダミンカップ(25日開幕、千葉・カメリアヒルズCC)を、観客も報道陣も入れない「非公開開催」で行う方針を発表した。新型コロナウイルスの感染リスクを最小限に抑えるため、大会全日程の無観客での開催も、テレビ放送がないのも国内男女のツアー制施行後初という異例づくしの開幕となる。リモートで会見した小林浩美会長(57)は「プロスポーツの技、醍醐味(だいごみ)を存分に味わってほしい」と大会の成功に自信を見せた。
日本女子ツアーがついに幕を開ける。JLPGAは5月25日に緊急事態宣言が全国的に解除され、今月19日には無観客でのプロスポーツ開催が容認されることから開催へかじを切った。絶対に失敗の許されない大会となるが、小林会長は「感染リスクを最小限に抑え、予防対策をしながら準備を進める」と力を込めた。
大会開催の判断は各主催者の意向が影響し、3月から6月中旬までの16試合、7月以降も中止決定済みの試合もある。その中、アース―での開幕は大会主催のアース製薬の強い要望で実現した。5月20日にゴルフ5団体によるトーナメント運営のガイドラインが出たが、開催5段階のうち最も重い「中止」に次ぐ「非公開開催」を模索。人員を最小限にするために無観客でテレビ中継もなく、報道陣も入れない「非公開」実現へ4月から水面下で大会のインターネット配信の検討を重ねてきた。
今大会は12年に発足。6月末は各企業が「株主総会の時期と重なる」と開催を避けてきた週に、同社・大塚達也会長(62)は「日本一の大会を目指す」とあえて飛び込んだ。会場内は緑色を基調とし「日本のマスターズ」というコンセプトを徹底。リーダーボードも同大会同様、今では希少な手動式だ。小林会長とも親交が深く、13年からは4日間大会へ移行。今季はツアー史上最高の賞金総額2億4000万円、優勝賞金4320万円まで引き上げるなど、女子ゴルフ支援への気概を示してきていた。
複数のツアー関係者によれば、選手、関係者ら通常約2000人の規模を約750人まで縮小する見込み。クラブハウスへの立ち入りもかつてないほど厳しく制限し、選手は大会14日前から検温が義務付けられる。感染者が出た場合の対応について、小林会長は「あらゆる可能性を含め検討している」と話すにとどめた。
ファンにとってはネット上とはいえ、全ホール完全カバーで談話も聞ける生中継。渋野日向子(21)らのプレーが見られる待ちに待った開幕となる。国内女子は3月から20試合が中止となり、20―21年シーズンの統合が決定済み。前例のない長丁場の厳しい戦いへ向け、小林会長は「女子ゴルフがスタートできたら、これほどうれしいことはない」と強い覚悟を口にした。
◆アース製薬 1892年4月創業で1925年8月設立。本社は東京・千代田区。殺虫剤や入浴剤、オーラルケアなどの衛生薬品の製造や販売を行う日用品メーカー。殺虫剤の名前を取って64年から現社名に。「ごきぶりホイホイ」「アースノーマット」「モンダミン」などが大ヒット商品となった。売上高1895億円(19年12月期)。従業員数4531人(18年12月時点)。東京五輪・パラリンピックのオフィシャルパートナー。
◆国内プロゴルフツアーでの主な無観客試合
▽女子 19年10月12、13日に台風19号接近に伴い、安全を考慮してスタンレーレディス最終日をツアー初の無観客で実施。同大会は07年も台風で最終日が中止となったが、プレーオフのみを無観客で行った。
▽男子 タイガー・ウッズ(米国)、松山英樹らが出場して昨年10月に国内初開催された米ツアー、ZOZOチャンピオンシップは、第2ラウンドの同25日に大雨の影響で千葉・習志野CCに水没箇所などが発生。安全を考慮して翌26日に延期され、無観客で開催された。会場の柵越しに約50人のやじ馬が出現。国内では、12年9月30日のコカ・コーラ東海クラシック最終日が、台風接近に伴い安全確保のため入場不可となった。