女子ゴルフはアース・モンダミンCで開幕「歴史に残る大会にしたい」主催のアース製薬・大塚達也会長インタビュー


18年の大会でホールインワンを達成した渋野日向子

18年の大会でホールインワンを達成した渋野日向子

 日本女子プロゴルフツアーが、アース・モンダミンカップ(25~28日、千葉・カメリアヒルズCC)でいよいよ開幕する。男女通じて初のツアー再開に向け、主催者・アース製薬の大塚達也会長(62)が、21日までにスポーツ報知の書面インタビューに応じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月以降22大会が中止となり、20―21年シーズンが統合される中、あえて開催に踏み切る理由や長時間のインターネット生中継を初実施する背景、参加選手への思いなどを聞いた。(取材・構成=榎本 友一)

 華々しい開幕ではない。大会はプロアマ戦中止、無観客開催で行われ、主催者にメリットは少ない。それでも、大塚会長は一貫して開催を強く望んできた。

 「アース・モンダミンカップは興行収入や宣伝が目的ではなく、ゴルフ界の発展のため、社会貢献のための大会を目指しています。特に本年は、コロナ禍で様々なイベントやプロスポーツ大会が中止になっている中、開催することで少しでも明るい話題を提供したい、スポーツの力で日本を元気にしたいという思いのもと、開催に向けて準備をしてきました。結果的に開幕戦となった次第です」

 当然、新型コロナ感染予防対策は万全を期す。

 「出場選手が不安なくプレーできる態勢作りと、大会に関わる方の安全を可能な限り確保するためにPCR検査実施を決めました。問診票の提出、検温の徹底、消毒液の設置など準備を進めております」

 プロスポーツでは異例の報道陣を会場に入れない「非公開開催」を要望した。

 「感染リスクを抑えるため、会場に出入りする人数を最小限に抑えたいという思いから、メディアの方にはリモート取材をお願いしたいということで、日本女子プロゴルフ協会と協議していました。取材拒否ということではありません」

 大会はYouTube上で4番組を用いて4日間、長時間にわたる異例のインターネット生中継を行う。テレビ中継がなく、インターネットのみの大会は1988年のツアー制施行後では初の試みだ。

 「(男子の海外メジャー)マスターズでは、多チャンネルでのネット配信を実施しており、どこにいても視聴できるのが、大変素晴らしいと思っていました。これを受けて今回、いろんな角度から番組を制作できるネット配信にチャレンジしてみることに致しました。(会場内の)人数を減らすためリモート対応をしている業務もあります」

 12年6月から今大会を主催。今季はツアー史上最高の賞金総額2億4000万円、優勝賞金4320万円まで引き上げ、来年以降の大会発展のプランも描く。

 「日本のマスターズを目指し、記憶に残る、心に残る、歴史に残る大会にしたいと強く願ってきました。今後の日本のゴルフ界発展のためにも、海外ツアーに参戦している選手が出たいと思える大会を開催したい。また、名物ホールも作りたいと思っております」

 今大会の参加選手やネット観戦するファンに向けた思いは熱く、シンプルだ。

 「(入国制限で)海外の選手が出場できないというのが大変残念ですが、若手も含めて、思う存分プレーしていただき、熱戦を全国の皆さんにお届けできたらと思っています。見ている方々が笑顔になってくれたら、それだけで満足です」

 ◆アース製薬 1892年4月創業で1925年8月設立。本社は東京・千代田区。殺虫剤や入浴剤、オーラルケアなどの衛生薬品の製造や販売を行う日用品メーカー。殺虫剤の名前を取って1964年から現社名に。「ごきぶりホイホイ」「アースノーマット」「モンダミン」などが大ヒット商品となった。売上高1895億円(19年12月期)。従業員数4531人(18年12月時点)。東京五輪・パラリンピックのオフィシャルパートナー。

 ◆大塚 達也(おおつか・たつや)1958年5月6日、徳島県生まれ。62歳。東京大学大学院卒業後、86年大塚製薬に入社し、大阪や米国で勤務。90年にアース製薬入社。同年3月に取締役、98年には代表取締役社長に就任。12年からのアース・モンダミンカップ開催に尽力。14年から取締役会長。マスターズ観戦歴は豊富で、景観の美しいカメリアヒルズCCでの開催にこだわった。

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