女子ゴルフで前週のスコットランド・オープンの予選落ちから巻き返しを目指す渋野日向子(21)=サントリー=が、20日開幕のメジャー、AIG全英女子オープン(ロイヤルトルーンGC)で日本人初の連覇を狙う。スポーツ報知では、渋野を支える人たちからの応援メッセージや世界を目指す過程での肉体の進化、クラブの変化を3回に分けて連載する。初回は地元・岡山からスポンサーのRSK山陽放送・桑田茂社長(67)が渋野を語った。(取材・構成=岩原 正幸)
昨年7月25日、早朝6時すぎの岡山空港。桑田社長は当時20歳の所属プロを静かに見送った。
「あまり派手なのはやめようと。乗客の方に迷惑にならないよう、ささやかに送り出しました」
地元・岡山の関係者など二十数人で英国に渡り、渋野の試合を初観戦。全英の初日の朝の練習前に「緊張してるでしょ?」と声をかけると渋野は「いえ、全然です!」と快活に答えた。
「英国では観客の拍手もまばらで、静かにスタートして行きました」
“スマイリング・シンデレラ”は日本人42年ぶり2人目のメジャー優勝で世界を驚かせた。
「最後のパットが入った瞬間はバンザイして大騒ぎでした」
羽田空港の帰国会見では渋野の物おじしない性格を改めて感じた。
「渋野プロはあれだけの注目の中、冷静に受け答えをしていて感心した。(花束を贈呈した)『社長が一番緊張していましたよ』と、私が周りから言われたくらいです」
ゴルフ好きの桑田社長は渋野が高校1年の時、プライベートで回った。
「その時5アンダーで、すごい子がいるなと思った。明るいしっかりした子で、プレーでは『絶対に負けないぞ』と。笑う子だけど、ミスや思うようにいかない時は表情がクッと(悔しそうに)変わるんです」
桑田社長は以前にも渋野と一度会っていた。
「渋野プロが小学生になる前だったかな。うちも娘を連れて地域のキャンプに参加したことがあり、たまたま渋野家とご一緒した。後日、渋野さんのお母さんとその話になり、何かの縁なのかなと思いました」
昨年1年間は所属契約で、今季からはスポンサーとして渋野を支え続ける。
「応援する側にとっては非常に幸せなこと。これから世界に行って活躍するのだから、うちの所属では無理があるというか…。昨秋、サントリーさんから話があり、お任せしようと。岡山が生んだ宝で、岡山弁を話し、地元が大好き、と言ってくれる。(激動の中でも)屈託のない笑顔を見せ、素直に育っている渋野さんをずっと応援したい。全英は思い切り楽しんでほしい。それだけです」
◆桑田 茂(くわだ・しげる)1952年10月31日、岡山・笠岡市生まれ。67歳。法大卒業後、1975年にRSK山陽放送に入社。「入社以来、9割は報道畑で」地元の政治、経済などを取材。2017年に代表取締役社長に就任した。