渋野日向子「風の問題ではなく、頭がパニック」通算12オーバー、前回覇者に自然が牙むいた


渋野日向子

渋野日向子

 ◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 AIG全英女子オープン 第2日(21日午前6時30分(日本時間14時30分)スタート、ロイヤルトルーンGC=6632ヤード、パー71、賞金総額450万ドル(約4億7700万円)、優勝67万5000ドル(約7155万円)、参加144人)

 日本人初の連覇&メジャー2勝目を狙った渋野日向子(21)=サントリー=は予選通過が絶望的となった。激しい風雨の中、無観客で行われ、9差71位で出て1バーディー、6ボギー、1ダブルボギーの78で回り、通算12オーバー。未知の強風との闘いで“空振り”もあり「頭がパニックになった」と漏らし、アイアンショットに数か月悩んでいることも告白した。それでも「リベンジした過ぎ」と、しぶこ節でリンクスでの全英再挑戦を宣言。英国から渡米し、10月まで米ツアーに参戦して武者修行する。

 昨夏、世界を魅了した“スマイル・シンデレラ”のメジャー連覇への挑戦は、2日間で幕が下りそうだ。渋野は予選通過ラインに5打及ばずにホールアウト。さばさばした表情で「言葉にできないくらい悔しい。風の問題ではなく、頭がパニックでした。昨日と違って横風が多くて、アイアンでやりにくさを感じた。今日のスコアは自分の責任。もっと成長してショットに自信を持ってまた帰ってきたい。リベンジしたいですね」と人生初のディフェンディング大会を総括した。

 巻き返しを期した前回覇者に、雨風の強まった海沿いのリンクスが牙をむいた。7番パー4だ。残り130ヤードのフェアウェーから、7アイアンでの第2打は風にあおられて左ブッシュへ。続く3打目は「ほぼ空振り状態」で、球の下をくぐるミスで4オン2パットの痛恨のダボ。上位を追いかけるはずが荒天の悪条件下で距離感がつかめず前半3つスコアを落として予選通過圏外で低迷した。

 林間コースで開催された昨年大会は、強気なショットでピンを攻めて通算18アンダーで制した。今大会はパーオンが2日間ともに18ホール中9ホールのみ。「本当にポンコツでしたね。(今年初戦の)6月のアース・モンダミンカップの時から、風がない中でもなかなかグリーンオンできていない状況で。練習では良い感じでも試合になると力んでしまったり。怖がって振れないところがあった。ここ何か月悩んでいた」とアイアンの不調を告白した。

 新型コロナの影響がなければ、日本ツアーで連覇を狙う大会2戦(ワールドレディスサロンパス杯、資生堂アネッサレディス)を経験して臨むはずだった大舞台。ほろ苦い思い出となったが「(英国での)2戦で自分に足りないものを全部見つけた気がした。もっと万全の状態で迎えたかったとは思うが、試合がない中では皆平等。弱音は吐いていられない」と渋野。次戦はメジャー第2戦のANAインスピレーション(9月10日開幕)。21日、米女子ツアーのキャンビア・ポートランド(17日開幕)の主催者推薦出場も発表された。米国に舞台を移し、前人未到の5大メジャー制覇へ再出発を切る。

 ◆空振り 打つための明確な意志を持ってスイングをしたのに球に触れられず、クラブのヘッドが球より前に通り過ぎてしまった状態を指す。ペナルティーにはらないが、1打にカウントされる。

 ◆しぶこに聞く

 ―第2Rを振り返って。

 「ショットになると本当にポンコツでしたね。風でより悪い方へといってしまって、気持ち的にもしんどかったです」

 ―連覇への重圧は。

 「重圧よりも、自分のショットに対しての不安ばかりを心配していた」

 ―パットは。

 「風がすごくて真っすぐストロークすることに必死で。距離感まで考えられていなかったですね。そこは慣れていくしかないかな」

 ―英国2戦での収穫は。

 「いつまでも経験、経験とばかりは言っていられないので。本当にいろんなものを見つけた。グリーンの外からパターで転がす(寄せ)とか、クッションを使うアプローチもバリエーションは増やせたと思います」

 ―この大会で優勝した去年の自分をどう思うか。

 「去年の自分がすごかったんだな、という思いは全くない。これからも名前は残っていくので、くよくよしてはいられない。もっと練習しないと、と思った」

 ―5大メジャー制覇の夢は。

 「そこはブレずに。どれくらいかかるかは分かりませんけど、長い時間をかけて戦っていきたい」

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