渋野日向子「今年一番」笑顔はじけた4打差発進…新導入のクロスハンドグリップが奏功


10日、ANAインスピレーションの第1ラウンド後、オンライン会見に出席した渋野日向子

10日、ANAインスピレーションの第1ラウンド後、オンライン会見に出席した渋野日向子

 ◆米女子プロゴルフツアー・ANAインスピレーション第1日(10日、米カリフォルニア州ミッションヒルズCC)

 米国本土では今季初のメジャーが開幕した。昨年のメジャー、AIG全英女子オープン覇者の渋野日向子(21)=サントリー=が4バーディー、2ボギーの70で回り、今季7ラウンド目で初のアンダーパーをマーク。ショットが復調し、パターは初めて握りをクロスハンドに変え、2アンダーの首位に4打差の19位。「今年一番いいゴルフができた」と上々のスタートを切った。66のネリー・コルダ(22)=米国=が6アンダーで単独首位。

 米国本土デビュー戦のメジャー大会で、渋野の秘策が奏功した。強気の“壁ドンパット”を封印し、左手を下にしてグリップを握るクロスハンドに変えた。出だしの10番でピン右2メートル半を沈めてバーディー発進すると、8番ではフック→スライスの難しいラインを読み切ってパーセーブ。8月の予選落ちした全英では両日30パットを要したが、この日は28パット。今季初のアンダーパーを記録し「3パット(のボギー)もないし、長い距離感も合って良かった。今年一番いいゴルフができた」と満足げに笑った。

 米ツアーは下が硬い高速グリーンが主流だ。英国2連戦で予選落ち後、「強気のパットは合わない」と分析し、距離感の合わせやすいクロスハンドを本格的に導入する決断を下した。アマ時代を含め初めての握り。米国入り後の練習ラウンド(R)で懸命に習得し、打つ時に頭が動いてしまう癖の改善にもつながった。

 ショットも改善した。全英後は「怖がって振り切れない」と明かしていた。この日の10番第1打でフェアウェーを捉えると、テレビカメラに右手を振って笑顔を向けた。11番では第3打をピン右1メートルに寄せるなどパー5のホールで3つのバーディーを奪った。パーオン率も67%と全英に比べて上がり「ドライバーは怖がらずに振れてアイアンも良かった」といつもの笑顔だ。

 猛暑下、“もぐもぐタイム”を忘れるほど集中力を高めて粘った。「じゃがりこやアメを持って来たけど、我慢のゴルフでお菓子に手をつける余裕はなかった」と笑った。

 首位とは4打差。午前中にプレーした第1Rは気温26度だったが、午後スタートになる第2Rは酷暑下でのプレーが予想される。「(気温)40度超えの予報なので本当に大変。水分、塩分補給もしっかりしたい」と気持ちを引き締めた。(宮下 京香)

 ◆クロスハンドグリップ 右打ち選手が、通常とは逆に左手を下にするパターの握り方。右肘が体に密着するため、右脇が開かなくなる。窮屈な形だが、余分な動作は防げる利点がある。また常に一定にヘッドを動かし、正確なストロークがしやすいとされる。強めに打ってしまう“パンチ”が入りやすい人は、これでカップを大きくオーバーするのを防げることが多い。石川遼らパット巧者のトッププロも、大会やグリーンの速さによって通常の握りと使い分けている。

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