女子ゴルフで単年登録でツアー出場経験を持つ幡野夏生(23)=フリー=が今春に延期されたプロテスト受験を前に、スポーツ報知のインタビューに応じた。今回のプロテストはコロナ禍で昨秋から3月に延期され、自身5度目の挑戦となる。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のティーチングプロとしての入会も目指していたが“二刀流”を断念し、プロテスト一本に絞った今の心境などを聞いた。(岩原 正幸)
幡野は現在、家を借りている茨城と実家のある神奈川を拠点に合格に向け、練習を続けている。1月からはメンタルコーチをつけ、効果を実感しているそうだ。
「去年はプロテストの中止が決まり、ネガティブになってしまった時期もありました。ずっと闇の中にいるような感じで。それで(ストレスで)食べて太ってしまったり。このまま続けようかどうしようか、受かるのかなって、起こってもいないことを考えてしまったり。もともとそんなにメンタル面で悩んだことがなかったので、お願いしてやってみようと。今までざっくりやっていたのが、あとテストまで何日とか、目的意識や必要なところを考えたり、やるべきことが絞れてすごく役に立っています」
昨年11月に、21年3月以降にプロテストの実施が決まり「これで絶対に通らなきゃ」と決意を新たにした。一方で、一学年下の98年度生まれの黄金世代、00年度生まれのミレニアム世代など若手の台頭はひしひしと感じている。
「もうフレッシュな世代と言われなくなってしまうので、焦りはすごく感じています。プロテストは5回目でベテランになるので、ポイントカードを貯めたくらいですけど(笑い)。怖い思いもたくさんしているので、ベテランはベテランなりに乗り越えるしかない」
昨夏頃にティーチングプロの資格取得を目指し勉強も始めたが、12月の初めにプロテスト一本に絞り、退路を断った。ティーチングの道は3年がかりで、23年に正会員としてJLPGAに入会でき、その後予選会(QT)に出場できるツアーへの“裏ルート”としても注目されていた。
「3年間プロテスト受けて、それで受からなかったら、レギュラーツアーで活躍できないなと思って決めました。レッスンをメインでやっている方にも(保険をかけるのは)あまりよくないと思って」
19年の制度変更で、正会員でないとQTが受けられず、いわゆる“ツアー難民”が発生し、幡野もその一人となった。肩書きはアマチュアではなく「プロゴルファー」だが、ツアーへの道はプロテストの合格でしか手に入らない。5、6月の本番に向け、全力投球する中、持ち前の明るさとパワフルさでツアーで活躍する姿を思い描く。
「もう悲願なので、合格したあかつきには会員証をみんなに見せたい! ゴルフが楽しいっていうのを見てくださる方に伝えたいですね!」
◆制度変更 18年まではJLPGAの非会員でも、QTで上位なら単年登録で翌年のツアーに出場できた。制度変更後の19年プロテストでは、合格ラインから2打差以内なら1次QTに出場できる措置が取られた。だが、37位だった幡野の場合、QTの道が閉ざされ、下部ツアーにも出られず推薦出場もできない。現在は今春に延期された5度目のプロテストを目指している。
◆女子プロテスト日程 3月中旬から各5か所で1次予選(3ラウンド)が行われる。前回最終テストに残った幡野が出場するのは2次からで、5月中旬に茨城(ザ・ロイヤルGC)、滋賀、岡山に分かれ、4ラウンドで争う。最終テストは6月22日から4日間、茨城・静ヒルズCCで開催され、20位タイまでが合格。
◆幡野 夏生(はたの・なつき)1997年8月26日、横浜市生まれ。23歳。父の影響で10歳からゴルフを始める。東京・堀越高在学中の15年9月に韓国ツアーでプロデビュー。日本ツアーデビュー戦となった18年フジサンケイクラシックでは初日にホールインワンを達成し、賞金800万円を獲得。ツアー最高位は19年富士通レディースの5位。コーチは三觜(みつはし)喜一氏。祖父はプロ野球・阪神でプレーした幡野和男さん。160センチ。