◆男子プロゴルフツアー ダンロップ・スリクソン福島オープン第2日(25日、福島・グランディ那須白河GC=6961ヤード、パー72)
雷雲のため消化できなかった第1ラウンドの残りが終了し、引き続き、第2ラウンドがスタート。第2ラウンドの午前組がホールアウトし、第1ラウンドで37位だった山本太郎(ゴルフパートナー)が第2ラウンドを1イーグル、7バーディー、2ボギーの65で回り、通算10アンダーでホールアウト時点で首位と5打差の4位に急浮上した。ツアー4戦目、普段はレッスンプロとして生計を立てている28歳が、存在感を発揮している。首位は通算15アンダーの時松隆光(筑紫ケ丘GC)。午後3時20分に雷雲接近のため、午後組の選手はプレーを中断している。
元タレントで、現在は、れいわ新選組代表と同姓同名の「山本太郎」がリーダーボードの上位に登場し、ギャラリーをざわつかせた。「名前は覚えてもらいやすい。親に感謝です!」。かつては個性派俳優としても活躍した山本太郎氏と少し似た雰囲気の濃い笑顔で笑った。
山本は第1ラウンド未消化分の7ホールをプレーした後、第2ラウンドのスタート直前にパターをマレット型からピンタイプに変更することを決断。「昨日もショットは良かったけど、もったいないパットを外していた」。第1ラウンドと第2ラウンドの間にクラブを変更することは認められているため、思い切った決断が奏功した。
ショットもさえた。13番パー5では残り245ヤードから2アイアンで2オンに成功。4メートルのイーグルパットもねじ込んだ。
時に政界を騒がす山本太郎氏と同様に、ゴルフ界の山本太郎も波乱万丈の人生を送っている。2015年、日大4年時にツアーの出場権を争う予選会に参加したが、前日の練習ラウンドで乗用カートが横転するアクシデントで右足付け根のじん帯を損傷。痛み止めの注射を打って予選会に挑んだが「途中から歩けなくなって、結局、棄権しました」。その後、練習ラウンドができるようになるまで4か月を要する大けがだった。
現在は埼玉・日高市のゴルフ練習場で、レッスンプロとして活動している。「練習場でのレッスンが週に3~4日、コースでのラウンドレッスンが週に3~4日、させてもらっています。休みはありませんね」と話す。ただ、全く暗さはない。「レッスンはやりがいがあります。それに、きょうはレッスンしている方々が6人も埼玉や東京からわざわざ応援に来てくれた。感謝しています」と山本は満面の笑みで話した。
今大会の賞金総額は現在の男子ツアー最低額の5000万円(優勝は1000万円)。一方、同週開催の女子ツアーのアース・モンダミンカップはツアー史上最高の賞金総額3億円(優勝は5400万円)。しかも、女子は海外メジャーの全米女子プロ選手権の結果と合わせて今週の大会で東京五輪代表が決まる注目の一戦。賞金総額は女子の6分の1…。注目度でも圧倒されている今大会で、待望の存在感ある異色プロが登場した。「10位以内に入れば次の試合(7月、長嶋茂雄招待セガサミーカップ)に出られる。まずはそこを目標に頑張ります」。山本太郎は元気いっぱいに話した。