◆女子プロゴルフツアー ニッポンハムレディス 最終日(11日、北海道・桂GC=6763ヤード、パー72)
プロ8年目の堀琴音(25)=ダイセル=が、涙の初優勝をつかんだ。2打差2位で出て67で回り、通算14アンダーで並んだツアー3勝の若林舞衣子(33)=ヨネックス=とのプレーオフ(PO)を3ホール目で制した。この日、東京から急きょ、応援に駆けつけたツアー2勝の姉・奈津佳(29)に続くツアー制覇。福嶋晃子&浩子以来、ツアー史上2組目となる「姉妹優勝」を果たした。
思い出のコースで夢をかなえた。PO3ホール目。堀は残り数センチのパーパットを沈めると、両手を大きく広げて歓喜のガッツポーズ。「最後まで諦めずに。気持ちだけは強くと思っていた」。次の瞬間には熱い涙が頬を伝い、両手で顔を覆った。「長かったですね…。(18年に)シードを落としてこの世の終わりだと思って…。こうやって復活できて本当に良かった。これで堀姉妹2人とも優勝した、と言えます」と優勝インタビューで号泣。待っていた姉・奈津佳と抱き合うと、また涙した。
2打差を追って4年ぶり8度目の最終日最終組。「数年前は緊張でソワソワ。今日は楽しみでワクワクでいっぱいでした」。得意のショットでツアー史上最長の難コースを強気に攻めた。1番で2メートルにつけてバーディー発進すると3番は80センチ、6番で10センチにつけて伸ばして首位の若林に並んだ。1打差を追った後半はパットもさえ14番で3メートル、15番で4メートルを沈めて再び首位をとらえ、POで勝負を決めた。
10代のアマチュア時代から優勝争いを演じた。16年に7052万円を稼ぎ自己最高の賞金ランク11位に。だが、肉体改造が裏目に出てショットがばらばらとなり18年からシード落ち。「辞めようとも思った」が同年夏から森守洋コーチ(44)に師事して一からやり直した。技術を磨き、体重にして6キロほど増えたパワーを生かせるようになったショットで今年、復調の兆しを見せていた。
今大会のコースは11年8月、姉がツアーデビューしたニトリレディスと同じだった。当時高校1年の琴音は初日の18ホールをついて歩いた。「プロってこんなに難しいコースでアンダーパーで回るんだ。すごいなと思った」。それから10年、ツアー165戦目で悲願の初V。「縁があるんだな。幸せいっぱい」と笑顔を輝かせた。史上2組目の姉妹Vに「姉は2勝。私も早くもう1勝したい。いつかは姉妹で優勝争いをしてみたい」。苦楽を知った堀姉妹が再びツアーの中心に帰ってきた。(榎本 友一)
〇…姉・奈津佳は今大会予選落ちもこの日、妹を応援するために急きょ、羽田から飛行機に飛び乗って来場。優勝後「妹が優勝するまでの間、すごく苦しんでいる姿や頑張っている姿を見てきたのでうれしい。どんなに悪くても目をそらさずに毎日取り組んでいた」と妹と抱き合って涙した。「(13年の)私の2勝を妹は見てくれたし、妹の初優勝は必ず見たいなと思っていた」と明かした。「私がもっと頑張って、一緒に最終日最終組で回りたい」と次なる夢も口にした。
◆主な姉妹&兄弟優勝
▼国内女子では 福嶋姉妹で晃子(国内24勝、米2勝)と浩子(1勝)。
▼国内男子では 尾崎3兄弟の長男・将司はツアー歴代最多94勝、次男の健夫は15勝、三男の直道は32勝。宮里3兄妹の長男・聖志は1勝、次男・優作が7勝、17年9月に現役引退した長女・藍さんは日米通算24勝を挙げている。
▼米女子ツアーでは 〈1〉アニカ(メジャー10勝含む72勝)、シャーロッタ(1勝)のソレンスタム姉妹(スウェーデン)、〈2〉姉のモリヤ(1勝)、アリヤ(メジャー2勝含む11勝)のジュタヌガーン姉妹(タイ)、〈3〉姉のジェシカ(6勝)、妹のネリー(メジャー1勝含む6勝)のコルダ姉妹(米国)の3組が達成。