◆男子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本オープン 第3日(16日、滋賀・琵琶湖CC=6986ヤード、パー71)
3打差7位で出た18年、20年大会王者の稲森佑貴(27)=国際スポーツ振興協会=が、6バーディー、2ボギーの67で回り、首位と6打差の3位に浮上した。1973年のツアー制施行後では唯一、初優勝から2勝を今大会で挙げてる“日本OP男”が、3勝目と史上6人目の連覇を狙う。S・ノリス(39)=南アフリカ=が通算18アンダーで首位を守り、小平智(32)=Admiral=が5打差の2位に付けた。
大逆転での連覇に挑む稲森が、ターゲットを定めた。他を寄せ付けず首位を行くノリスに6打差を付けられた稲森は「彼が爆走中なので、負けたくないなって」。ツアー2勝がともに日本オープンという27歳は、大舞台との相性の良さも追い風に、その差を埋めることを誓った。
前半は連続バーディーで滑り出すと、ノーボギーで折り返した。「1番はみんな苦戦していたので、いいスタートが切れた」。17番では直角にスライスする2・5メートルのバーディーパットを沈め、稲森の代名詞とも言えるガッツポーズが飛び出した。最終18番で第2打がグリーンのカラーを伝ってバンカーにこぼれ、予想外なボギーを叩いたが「2ケタアンダーはマスト」という目標はクリアしてホールアウトした。
ツアー初Vを挙げた18年大会は最終日を単独首位でスタートしたが、5打差5位だったノリスが6つ伸ばして猛追。結果的には2打差で逃げ切ったものの、「すぐ下の選手よりノリスが来るなと思っていたら案の定来た」と驚異的な追い上げにおびえていた。
しかし、今年は立場が逆転した。第2ラウンド(15日)を先に終えた稲森は、スコアボードを駆け上がるノリスをテレビで確認。「やっぱり来たなって。フラッシュバックしちゃった」と3年前の記憶がよみがえった。それでも諦めることはない。中学までラガーマンでもあった188センチ、100キロの強敵を「戦車みたい」と形容しつつ「彼に追いかけられるぐらいなら、追いかける方がいい」と169センチの稲森はファイティングポーズを崩さなかった。
最終日に6打差をまくって優勝すれば、日本OP史上2位に並ぶ逆転劇。連覇となれば1999年、2000年の尾崎直道以来で21世紀初だ。「頑張って追いついて。徐々に(スコア)メイクしていけたら」。一心不乱に大きな背中に食らいつく。(菅原 美沙)
◆稲森の日本OP2勝VTR ▽18年大会(神奈川・横浜CC) プロ8年目の“日本一曲がらない男”は、ショットが好調で第3Rに67をマークして3打差の単独首位に浮上。最終日も68で、2位のノリスに2打差をつけて逃げ切り初優勝。ツアー史上8人目となる最高峰のメジャーでの初Vを24歳で飾った。
▽20年大会(千葉・紫CCすみれC) 雨の第3Rに、ベストスコア68を叩き出して1打差2位に浮上。最終日は69でまとめ、谷原秀人との最終日最終組対決を制して、2月22日に結婚した記念の年に2年ぶり2度目のV。「好きな数字」という「2」にまつわる逆転劇を演じて見せた。