星野陸也、4差4位 「神パット」3連発で史上最大差の逆転賞金王へ望み


9番、多くのギャラリーが見つめる中、バーディーを奪った星野陸也

9番、多くのギャラリーが見つめる中、バーディーを奪った星野陸也

◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(4日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)

 賞金ランク4位から史上最大差で逆転賞金王を狙う星野陸也(25)=興和=が“鬼門”の第3ラウンドを69で回り、通算7アンダー4差4位のV圏内にとどまった。3差2位で出て5バーディー、4ボギー、10番は「直角パット」を決めた。逆転賞金王には優勝が条件で、初戴冠で得られる5年シードを海外挑戦への足がかりにする。

 星野が史上最大の“下克上”へ、「鬼門」の第3Rで食らいついた。19年大会に第2日を終えて単独トップにつけながら、75と下げて14位に後退。苦い思い出が頭によぎり、こわばった表情で午前9時すぎにコース入り。首位の谷原に4差と広げられはしたが、69でまとめ「3日目は鬼門で、すごく大事だと分かっていた」と振り返った。

 ツアー屈指の超高速グリーンで魅せた。奧から急傾斜の9番ではピン右から5メートルの右から左に急カーブのバーディーパットを入れた。10番では8メートルの「直角パット」。左から右に90度に曲がってカップインし、自身も思わず「ウォ!」と叫んだ。11番は7メートルを強めに打って、カップの向こう側に当てて入る「壁ドン」でねじ込んだ。前半に好機を逃していただけに「チャンスが入らず、えげつなく曲がるのは入った。こういう日かな」と安堵(あんど)した。

 初のメジャー制覇となれば、初の賞金王戴冠で「5年シード」をたぐり寄せる。73年のツアー制施行後、最終戦Vでの逆転はランク2位からの片山晋呉、宮里優作に続き3人目。4位から約2356万円差が覆れば、史上最大の“下克上”となる。さらに例年はシーズン終了後、賞金ランク2位以内に翌年の海外メジャー、全英オープンの出場権が与えられてきた。「この1年、海外でも戦うため、クラブやスイングを調整した」。最終日に上位にいけば、海外挑戦へのチャンスは広がる。

 これまで5勝中逆転Vは19年のダンロップ・スリクソン福島オープンの1度だけ。それでも「追いかけられるより、追う方が気分が楽」と言い切る。「最後の試練。優勝すれば賞金王につながるので、優勝できるようにしっかり伸ばしたい」。前例のない“大逆転劇”の主役になる。(宮下 京香)

 ◆最終戦を制しての逆転賞金王 日本ゴルフツアー機構によると、最終戦を優勝しての逆転賞金王は資料の残る1985年以降では、〈1〉2000年12月のファンケル・オープンin沖縄の片山晋呉(771万3253円差の賞金ランク2位)〈2〉17年12月の日本シリーズJTカップの宮里優作(1717万7831円差の賞金ランク2位)の2度だけ。片山は2日目以降首位を走って逃げ切りV。宮里は3日目に首位に立っての逃げ切りVだった。

 ◆日本シリーズJTカップの最終日最大逆転劇 7打差逆転が2度。〈1〉1989年大会で大町昭義が4アンダーの4位からベストスコア66をマークし、75だった中嶋常幸を2打差で逆転V〈2〉94年大会で佐々木久行が9アンダーの3位からベストスコア66で回り、74だった尾崎直道を1打差で逆転して勝利した。

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