女子ゴルフツアーで昨季9勝(2021年は8勝)を挙げ、初の賞金女王に輝いた、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧(都築電気)が3月から始まる今季開幕戦、ダイキンオーキッドレディス(3~6日、沖縄・琉球GC)に向け、30日までに練習拠点の千葉・北谷津ゴルフガーデンで取材に応じた。(構成・岩原正幸)
―昨年を振り返って。
「腰のけがなどいろいろあったが、年間で8勝挙げられたのは良かった。パターが20年より入ってくれた」
―東京五輪では男女通じて競技初のメダルを獲得した。
「これまでゴルフを見ていなくても私の名前を知ってくれた人が増えた。ジュニアの子たちが、これからどんどん増えていってほしい」
―オフはどのように過ごしている?
「プライベートは基本ないので、練習とトレーニングです。今年のオフはあまり練習できていないので、これから本当に頑張らないとやばい。12月、1月は30~40%しかできていない」
―練習ができないのは?
「めちゃくちゃストレスです。ニキビが3個もできてて…。2月からは練習とトレーニングに全部時間を割きたい。朝から晩までできるように」
―例年、体重も課題に挙げているが。
「体重自体は今、ずっと去年のオフのピークをキープしている。まだ(昨年10月に腰を痛めた影響で)重たい筋肉を付けられないので、違うお肉の方で大きくなっている(笑い)。これを筋肉に変えて、海外モデルのようなきれいに引き締まった体になれるように」
―現在の体の状態は。
「まだ重いものは持てないけど、練習ができないとかはない。ケアやストレッチを心機一転して、今年はうまくけがなく、できるんじゃないかと思っている」
―1月から新トレーナーの沢木弘之氏から指導を受ける。
「去年どうしても、けがはしたくなかったというのがあったが、マスターズGCレディースで腰を痛めてしまった。(今年に入り沢木氏から)ケアを受けて、今まで受けた中で一番うまいと感じた。何年も悩んでいた首のコリや柔軟性(体の硬さ)が、1週間くらいで半分くらいに治った。ゴルフもいい方に進んでいくのではないか」
―体の使い方も良くなりそうか?
「体が硬くて前は回れなかった。上半身の可動域を広げるようにしている。(スイング時の見た目も)落ち着いて見えるかもしれない」
―海外ツアー挑戦の思いは、今もないのか?
「あまり考えていない。最初からそれを目指してやっていない。私は日本人として日本で一番に、ずっといたいというのが強い。日本で一番になったと言っても、昨シーズンだけ。総合的な目標は(30勝以上の)永久シードというのを、小中学生の頃からずっと言っている。(メジャーへのスポット参戦は)隔離がなくなったら、出たい気持ちはあります」
―記録では2019年にパーオン率ツアー歴代1位の78・21%。
「自分の記録は自分で塗り替えたいので、何か一つ、持ち味はずっと守っていきたい。(19年の記録を)誰かに抜かれるのは阻止したい。その時は私が塗り替えます。誰にも邪魔はさせたくないので、そこは気合で守りたい。(目標は)80%超えです」
―今年の抱負を。
「まず1勝できるように頑張りたい。身近な目標を一つずつクリアしていきたい。また一から、ですね」
◆沢木トレーナー「パフォーマンスもっと上がる」
〇…1月からチームに加わった沢木トレーナーは稲見の体の印象を「(疲労の)蓄積というか、全体的に硬かった」と分析。捻転の動きを出したいという本人の希望から、可動域を広げるためのコンディショニングを取り入れる。「パフォーマンスももっと上がるのでは」と期待した。トレーナーは稲見が話したという「絶対に女子には負けたくない」との言葉から気持ちの強さを感じ取ったと明かす。これまでは主に社会人野球に携わり、本格的にゴルファーをみるのは初めて。「今年しっかりと動けるのが一番の目標。その先に長くやるというのがあると思う。しっかりサポートしたい」と穏やかに話した。