男子プロゴルフツアーの国内開幕戦、東建ホームメイトカップは31日から4日間、三重・東建多度CC名古屋(7062ヤード、パー71)で無観客で開催される。ツアー通算17勝の石川遼(30)=カシオ=が、気持ちを新たに172日ぶりのツアー復帰を果たす。昨年11月に自主隔離義務違反で出場停止処分を受けて以来のツアーに向け、30日にオンライン会見に臨み、「感謝の気持ちを持ってプレーします」と再出発を誓った。
石川はすっきりとした顔つきで口を開いた。
「久しぶりの試合。本当にご迷惑、ご心配をおかけした方が多くいる。地に足つけて、丁寧に一打一打に向き合っていくことしか今は考えていない。大好きなゴルフをやれる。また前に進める。感謝の気持ちを持ってプレーします」
昨年10月のブリヂストンオープン(28位)以来、172日ぶりのツアー復帰戦。みそぎの舞台へ「心・技・体に向き合いながら、課題を持ちながらやっている」とゴルフに真摯(しんし)に向き合ってきた。関係者によると、ツアー出場停止処分が明けてからは地元・埼玉県内の練習場などでスイングの調整やトレーニングに集中してきた。「メンタル的にもフィジカル的にも、やるべきことがたくさんある」とし、今季は国内ツアーに専念する意向も示した。
再出発の22年初戦は“新スタイル”で挑む。昨季まで4本のウェッジで戦っていたが、今大会で9アイアンを抜いて、代わりに43度ウェッジを新たに投入。男子プロでは異例の5本のウェッジをバッグに入れて戦う。「今後のキーになる」と見据える150ヤード以内の距離の精度を高めて「ピンを狙うショット」を実現し「ウェッジを持ったら、2回で上がる」とバーディー量産を図る。
この日は朝、右手首と腰に違和感があり、会場入りせずに静養に努めた。29日は会場でこれまでと変わらず報道陣を引き連れながら練習ラウンドで調整。「目指していることができれば上位にいける」と活躍を誓った。約半年間、プレーを心待ちにしてくれたファンに向け「感謝」の言葉を口にした石川。ゴルフ界を引っ張ってきたツアーの顔が、再びこの舞台で輝きを放ってみせる。(宮下 京香)
◆「今年は日本で腰を据えて」…石川遼に聞く
―172日ぶりのツアー、心境を。
「久しぶりの試合なのでルーチンとか自分でもぎこちないところがあるけど、ゆっくりとやっていければと思います」
―どんなプレーを見せたい?
「感謝の気持ちを持って、一打一打、かみ締めながら楽しくやりたい」
―今年は米下部ツアーの出場権を懸けた予選会に参加する考えは。
「今は考えていない。今年は日本で腰を据えて長い目で見て、特に体の部分でしっかり作っていかないといけないと思う」
―海外メジャーへの思いは。
「長期的な目標は変わっていない。実力を出した時に(切符は)ついてくる。その日が楽しみ」
―今季の目標を。
「トップ5に高い確率で入ることがゴルフの再現性としては大事。ゴルフのベースを作りたい」
◆石川の隔離義務違反騒動を巡る経過
▽昨年10月22日まで 米国での下部ツアー出場権を懸けた2次予選会。
▽同24日 帰国。
▽11月8日 10月27日に帰国後の自主隔離義務違反があったと報道される。
▽同9日 謝罪コメントを発表。同11日開幕のツアー、三井住友VISA太平洋マスターズの欠場と日本ゴルフツアー機構(JGTO)の選手会副会長など辞任の意向。
▽同11日 JGTO懲戒・制裁委員会で1か月のツアー出場停止処分。
▽同15日 JGTOの臨時理事会で石川の選手会副会長、JGTO理事の辞任の申し出を受理。
▽同24日 高知・Kochi黒潮CCで会見し、涙ながらに謝罪。
▽22年1月 ツアー初戦、SMBCシンガポールオープンを欠場。