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桂川有人
◆日本男子プロゴルフツアー ISPSハンダ欧州・日本トーナメント 最終日(24日、茨城・石岡GC=7071ヤード、パー71)
プロ3年目の桂川有人(国際スポーツ振興協会)が、逃げ切って初優勝を飾った。首位タイで出て7バーディー、1ボギーの65で一度も首位を譲らず、通算24アンダー。自身初のホスト大会を制し、1998年度生まれの優勝者は金谷拓実(23)=Yogibo=に続く2人目となった。成長著しい23歳は今季中の複数Vを目標に掲げ、女子の「黄金世代」に負けじと、男子ツアーの中心世代を担うことを誓った。星野陸也(25)=興和=が1打差の2位。
雨空の下、新星が公約通りの決めポーズを初披露した。最終18番。桂川は10センチのパーパットを沈めると、ギャラリーから大きな拍手を浴びた。関係者と抱き合った後、照れ気味に右拳を突き上げ、左目を大きく見開いた。前日に示唆していた「大好き」な新日本プロレス・内藤哲也のポーズ。「内藤選手がやると盛り上がるのでやってみたかった。喜んでくれている方もいましたね」。自らと同じく海外修業を経て、羽ばたいた内藤への憧れも込め、観客を再び沸かせた。
持ち味の精度の高いアイアンショットで、記録的な伸ばし合いとなった一戦を制した。風が吹いたこの日もパーオン率は100%で全体1位(4日間も88・89%で同1位)。安定したショットでバーディーを量産。勝負の分かれ目は17番パー3だった。
中3で海外留学 直前に「緊張で手が震えて」3パットボギーで星野に首位に並ばれていた。それでも「集中できた」と8アイアンで1メートル半につけて伸ばし、再びリードを奪った。今年契約して初のホスト大会でいきなりV。「よかった」と表彰式では緑の羽織を着て、贈呈された恒例のカブトをかぶった。
中学3年時にプロを志し、フィリピンへ約3年間の単身留学。「自分のゴルフ人生において一番の分岐点」。ゴルフ漬けの日々を過ごし、笹生優花(20)とも異国で練習をともにした。笹生は昨年6月のメジャー、全米女子オープンで優勝。「同じ環境でやっていた選手が活躍するのは刺激になりました」と、自身も出場権を持つ、初メジャーとなる7月の全英オープンでの飛躍を夢見ている。
98年度生まれの男子ツアー優勝者は、通算3勝の金谷に次ぐ2人目だ。「女子の同世代がすごくて。男子も勝てるというところを見せたかった。負けないように頑張っていきたい。なるべく早く2勝目を」と桂川。優しさあふれるショットメーカーが看板選手への階段を上がる。
(榎本 友一)