◆ジュニアゴルフ国別対抗世界選手権 2022トヨタジュニアゴルフワールドカップ 第1日(22日、三重・白山ヴィレッジGC=男子7018ヤード・パー72、女子6358ヤード・パー72)報知新聞社後援
日本男子ゴルフ界の未来を担う“超新星”が躍動した。日本男子チーム最年少の松井琳空海(りうら、15)=四国学院大香川西高1年=が、1イーグル、5バーディー、ボギーなしの65で回り、男子個人トップとなる7アンダーで初日を終えた。今大会出場の男子7か国、28人中でも2番目の年少者が、世界から集った強豪の年長者らを押さえて堂々の首位スタート。2021、2022年の春季全中覇者が、実績に劣らぬ好ラウンドを披露して、5大会ぶりの優勝を狙うチームのトップ発進に貢献した。
愛媛県出身の15歳が、世界のライバルの前で力を示した。1番でバーディー発進を決めた直後の2番、パー5。残り215ヤードから4アイアンで放ったセカンドショットが、ピンそば1・8メートルにピタリと止まった。楽々とイーグルを奪い、前半折り返し時点で3アンダー。後半もバーディーを4つ上乗せして、この日トップの7アンダーでフィニッシュした。
50センチの“ベタピン”に寄せた最終18番を含め、5つのバーディーパットはすべて2メートル以内と、高いショットの精度を披露した。それでも、松井は「1ピン(2メートル以内)くらいの(バーディーパット)が、あと3つくらいあった。それを入れられていたら、全然違っていた。(前半の)1、2番で3アンダーまでいったのに、そこからパーが続いたのが唯一の悔い。前半で5、6(アンダー)は、いけるつもりだった」と悔しそうな表情。初日個人トップのスコアと聞くと「90点くらいはあげたいな、というくらい。自分のプレーができたのは良かった。でもまだ、あと2日間あるので満足はできないです」と、少しだけ頬を緩めた。
この日は18歳2人を含む、海外勢の年長者3人とのラウンドだったが「自分の方が強いなと思いながら、回っていた。負けるつもりなんかなかった」と一切、物おじしなかった。7歳で競技を始めた松井は一昨年、昨年の全国中学校ゴルフ選手権春季大会を連覇。今春、高校の門をたたいたばかりだが、世代のトップを歩んできた自信と、たゆまぬ努力を重ねてきた自負がある。中学時代は放課後、練習場までの11キロを自転車で往復。時には走って通った。高校入学後は毎日7キロのランニングを課し、その後に4時間練習。帰宅後もパット練習と、まさに練習漬けだ。「足腰には自信がある。高校入学後のランニングは足を痛めてから控えたけど、その間も上半身の筋トレをしていた。誰よりも練習をやってきた自信がある」と言葉は力強い。
気心のしれた“仲間”の存在も、力を発揮できる要因だ。古川、大嶋、高田とは何度も大会で顔を合わせるなど、なじみの仲。全員、先輩だが「上下関係が全然ない。一緒にいたら、リラックスできる」と、あどけない笑みを浮かべる。今大会中はコテージでの共同生活で、「楽しすぎる。バレーが最高」と松井。任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」のソフトで、バレーボール対決にはまっていると明かす。他メンバーからの評価は「一番ヘタ」だが、「ボクが一番、うまいと思う。(個人対決でも)負けた? たまたまです。もう、負けない」と、ここでも強気に譲らない。
2019年の前回大会では2位と涙をのんだ日本男子の優勝は、2015年大会までさかのぼる。イタリアと並ぶ首位発進で、7年ぶりの頂点奪還へ期待が高まる。松井は「個人でも、団体でも優勝したい。自分のゴルフをするだけ。それで、どれだけ世界に通用するか」。初日だけでなく、大会を通じて主役を勤め上げる意気込みだ。
◆第1日成績
▽男子 〈1〉イタリア、日本(松井琳空海65、高田圭一郎68、大嶋港73、古川創大75)206〈3〉カナダ207〈4〉スウェーデン208〈5〉メキシコ、チリ、南アフリカ214
▽女子 〈1〉カナダ141〈2〉スペイン143〈3〉コロンビア、日本(上田澪空72、徳永歩72、手塚彩馨75)144〈5〉メキシコ148〈6〉南アフリカ150(※男子は各チーム4人、女子は3人によるストロークプレーで、男子は各日上位3人、女子は2人のトータルスコア)