岩井千怜、双子プロ初V!姉・明愛と抱き合いうれし泣き…「自分でも勝てるんだ」20歳ルーキー一番乗り


ツアー初優勝でトロフィーを手に笑顔を見せた岩井千怜(カメラ・竜田 卓)

ツアー初優勝でトロフィーを手に笑顔を見せた岩井千怜(カメラ・竜田 卓)

◆女子プロゴルフツアー NEC軽井沢72 最終日(14日、長野・軽井沢72G北C=6679ヤード、パー72)

 首位で出た、注目の双子姉妹の妹・岩井千怜(ちさと、20)=ホンダ=が5バーディー、2ボギーの69で通算13アンダーで涙の初優勝を飾った。ルーキーで一番乗りVを達成し、女子プロ史上4組目の双子選手としては初の優勝者。昨年末の予選会失敗から試合数が限られた前半戦の活躍で巻き返し、攻めのプレーで混戦を制した。吉本ひかる(23)=マイナビ=ら6人が1打差の2位。

 優勝を決めるボギーパットを沈めた岩井千は「ヤッター」と両手を高々と突き上げた。18番グリーンで待ち構えた姉の明愛(あきえ)と抱き合うと、2人そろって大粒の涙を流した。家族からも「よくやった。おめでとう」の声が飛んだ。20年度(21年6月)プロテスト合格の同期も次々と祝福。本格参戦1年目のルーキー一番乗りVに「自分でも勝てるんだって思いました」と満面の笑みを浮かべた。

 前半を終えて吉本に1打リードを許した。後半の10、11番でともに5メートルのバーディーを決め、単独首位に立ち、ガッツポーズ。「ティーショット、セカンドと振り切れて流れに乗っていけた」。16番でも果敢に2オンを狙うなど攻めのスタイルを崩さず、勝ちきった。

 8歳でゴルフを始めてから、常に姉と同じ道を歩んだ。「どっちかが上だね、最近どっちかが頑張ってるねって言ってくださる方が多く、お互いの刺激になっている。仲間でもあり、高め合える存在。自分も負けないように、もっと頑張ろうと思わせてくれる」。20年日本女子オープンでローアマ(14位)を獲得するなど早くから頭角を現し、一歩前を行っていた姉に感謝を示した。

 今季の出場権を懸けたQT(予選会)で姉妹ともに失敗(千怜は90位)。昨オフは家族、マネジャーらチームで「逆境をはねのけよう」と誓った。試合数が限られる中、前半戦に最大8試合となる推薦を取ってポイントを重ね、7月のリランキング(出場優先順位見直し)で33位に上昇した。「QT落として、それじゃいかんと。気持ちが強くなった」。後半戦の出場権をつかむと、前戦まで連続トップ10と上り調子だった。

 2001年度生まれの西郷真央らの一つ下で、02年度生まれ以降としては初優勝を飾った。岩井姉妹が4組目の双子プロ。双子での初優勝者にもなった。父は公務員という、ごく普通の家庭で育った20歳は「大きい家を建てたい。家族を旅行に連れて行きたい」と喜んだ。次なる目標は「日本女子オープン(9月29日開幕)で勝ちたい」。岩井姉妹の物語はまだ始まったばかりだ。(岩原 正幸)

 ◆主な双子アスリート

 ▽宗兄弟(マラソン男子)兄・茂、弟・猛はともに70~80年代に瀬古利彦らと活躍。茂は五輪は76年モントリオール大会20位、日本がボイコットした80年モスクワ大会は代表に選出された。84年ロサンゼルス大会はともに出場し、猛が4位、茂は17位。

 ▽荻原兄弟(ノルディックスキー複合) 兄・健司は92年アルベールビル、94年リレハンメルの両五輪団体で連覇。98年長野では弟・次晴と兄弟同時出場し、団体5位。

 ▽佐藤兄弟(サッカー) 兄・勇人はJ1千葉などでMF、弟・寿人は広島などでFWとして活躍。日本代表は兄が1試合、弟が31試合出場。06年8月のイエメン戦では日本代表で兄弟同時出場も果たした。

 ▽湯元兄弟(レスリングフリースタイル男子) 兄・健一、弟・進一は12年ロンドン大会にこの競技で日本初の五輪同時出場。兄は08年北京大会の60キロ級で銀メダル。弟は12年大会で55キロ級銅。

 ◆日本女子プロゴルフ協会の双子選手 双子の女子プロは元プロ野球ソフトバンクコーチの久保康生氏の娘・啓子(2008年入会)&宣子(のりこ、10年入会)、池内絵梨藻&真梨藻(ともに10年入会)、本山恵子&裕子(ともに1991年入会)、岩井明愛&千怜が4組目。優勝は千怜が初。

最新のカテゴリー記事