◆日本、アジア、韓国共催 男子プロゴルフツアー シンハン・ドンヘ・オープン 最終日(11日、奈良・KOMAカントリークラブ=7065ヤード、パー71)
日本初開催の3ツアー共催大会は、5差5位から出た比嘉一貴(27)=フリー=が7バーディー、1ボギーの65で回り、通算20アンダーで逆転優勝を飾った。初共催だった19年の前回大会で予選落ちした雪辱を果たし、今季単独トップのツアー3勝目で通算5勝。韓国ツアー5年、アジアンツアー2年の出場権も得た。活躍が著しい比嘉の強さを、今季初勝利となった4月の関西オープンを取材した宮崎尚行記者が「見た」。
比嘉にとって、殻を一つ破った勝利に違いない。最終日、首位のティラワット(32)=タイ=と5差。伸ばし合いのコースで、相手が崩すと考えにくく「(優勝に)10アンダーくらい必要かと。正直、厳しいなと思った」は本音だった。
「アグレッシブな気持ちでいく」。前日の宣言通り、出だしから3連続バーディー。中盤は我慢が続いたが最終盤の17、18番で“ふた伸び”。158センチの小兵がかけた重圧に、182センチの大男が屈した。自身最大打差、順位差の逆転V。「諦めない気持ちが大事だなと思った」とかみしめた。
数字の話だけではない。米ツアー主戦で3勝を挙げる金施佑(韓国)とは、第3Rに同組で回った。ともにスコアアップに苦しんだが「似た内容でも後半の巻き返しや、1つのバーディーをきっかけに連続バーディーにしたり。実力差を感じた」。“本場”で戦う同級生を持ち上げたが刺激とし、そのまま力に変えた。
今季1勝目、関西オープン後の言葉が強烈だった。目指す自身初の複数回優勝に「2勝とは思ってない」。高みを目指す男の覚悟と自信。有言実行の3勝目を自身初の共催トーナメント、そして大会初の日本人Vで刻んだのも海外志向の強い男らしい。賞金王、そして海外挑戦へ。夢の実現は近そうだ。(宮崎 尚行)