◆男子プロゴルフツアー 三井住友VISA太平洋マスターズ 第3日(12日、静岡・太平洋C御殿場C=7262ヤード、パー70)
2位で出た蝉川泰果(21)=東北福祉大4年=が6バーディー、2ボギーの66で回り、通算10アンダーで単独首位に浮上した。2013年の松山英樹に並ぶプロ転向2戦目でのツアー最速Vと、史上初のアマチュアとプロでの同一年優勝に王手をかけた。10、12年大会覇者の石川遼(31)=カシオ=は4バーディー、3ボギーの69で回り7アンダー。3年ぶり優勝へ、3打差2位で最終日を迎える。
最終18番をバーディーで締めた蝉川が、偉業に王手をかけた。「そんなに簡単じゃないけど、ここまで来たからには優勝したい。一打一打集中して、一つでも多くバーディーを取りたい」。2013年の松山に並ぶプロ転向2戦目でのツアー最速Vと、史上初のアマチュアとプロでの同一年優勝へ、3打のアドバンテージを得て最終日へ向かう。
1番は第2打をグリーン奥に外して4オン1パットのボギーとしたが、4番で11メートル、6番で8メートルのバーディーパットを沈めて再浮上。「緊張感のあるなかで、ボギースタートから出直して、こういうプレーができたのはよかった」と振り返った。プロデビュー戦のマイナビABC選手権は、グリーン上で苦戦し28位だった。「先週はパンチ気味に打ってしまっていた。テンポも速かった。今週はその反省を生かしている」。経験を糧に、隙のないゴルフを続けている。
東北福祉大1年生だった19年、米沢蓮のバッグをかつぎ、キャディーとして参戦。2学年先輩の金谷拓実の優勝を見届けた。「感動した。鳥肌が止まらなかった」。あれから3年。アマチュアとしてツアー2勝を挙げ、プロゴルファーとして御殿場に帰ってきた。今年の第50回記念大会は入場無料。この日は18年日本プロ最終日(1万573人)以来の大台突破となる1万67人が来場した。声援をかみしめるように、笑顔でプレーを続けた。
最終日を1位で迎えた大会は9月のパナソニックオープン、95年ぶりのアマチュアでメジャー優勝を果たした10月の日本オープンをともに優勝しており、V率100%。「勢いを崩さず勝ち切りたい」。ツアー17勝の石川、同6勝の星野との最終組対決を、自信をもって戦い抜く。(高木 恵)
◆松山英樹のプロデビュー最速V 2013年4月のつるやオープンで、松山はプロ転向後わずか26日、1999年の日本ゴルフツアー機構発足後、最速となるプロ2戦目で初優勝。初日は69の38位で滑り出すと、2日目に63で1打差2位に浮上。3日目は68で2打差2位を維持し、最終日に66で逆転V。10年の薗田峻輔(ミズノオープン)、12年の藤本佳則(日本ゴルフツアー選手権)の5試合を超える記録となった。