◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 最終日(4日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
4打差5位で出た昨年覇者・谷原秀人(44)=国際スポーツ振興協会=が5バーディー、ボギーなしのこの日ベストに並ぶ65をマークし、通算12アンダーで逆転優勝した。2010~12年の藤田寛之以来の史上6人目の連覇を達成し、大会3人目の選手会長Vで通算17勝目を飾った。今季は超高額賞金の新ツアー「LIV招待」に参戦したことで批判の声もあったが、新たな経験に「刺激をもらった」と前向きに語った。
これがベテランの味だ。出場選手で日本人最年長の谷原は知り尽くしたコースを攻略した。18番、下って曲がる難しい2メートルのパーパット。「30センチ先に芝カスがあり、そこしか見てなかった。パーかダブルボギーか。入れることしか考えてなかった」。冷静に1メートルは曲がるフックラインを沈めると、右拳を握った。最終組が18番をプレー中に、史上6人目の連覇が確定。「まさか勝てるとは。本当にうれしい」と家族と喜び合った。
「白髪隠しでグレーを入れた」という44歳が大会年長3番目の優勝。今季選手会長に就任した“ツアーの顔”は「びっくり。若い選手がどんどん出てきて、40代の肩身が狭くなっている。ツアーには10、20、30、40代と多くの良い選手がそろう。皆さん、今日は楽しかったですか」と、シーズン終了恒例の閉会式で18番グリーンを囲んだ観客に声を張った。
好天の下、4差を追った。「風もない。伸ばすなら今日しかない」と狙い通りに前半3バーディー。「小平が前半にポンポンと伸ばしていたら、多分不可能だった」。14番で首位に並ぶと、17番バーディーで最少の65。池田とともに出場選手最多に並ぶ大会14度目の技巧派が一気にまくった。
今季の谷原は、サウジアラビア政府系ファンドが支援する超高額賞金の新ツアー「LIV招待」に参戦した。国内ツアーの選手会長という立場もあり、批判を受けた。今大会中も「叩かれまくって」とこぼした。優勝会見では「選手会長だから出てはいけない試合があるのか。考え方一つだと思う」と持論を展開。全組がほぼ同時刻スタートのショットガン方式の採用で時間短縮を図ったり、プレー後にコンサートが催されたりと「若い人を取り入れようとしている」と強調した。「スーパーな選手たちの中で、かなり刺激をもらった」と前向きに語った。
若手が台頭した今季のツアーで最年長優勝者となった。「若手の壁になれることを喜びながら、来年もやる」。初日は21歳で大学の後輩の蝉川に飛距離で置いていかれたが、経験と小技でスコアを作った。「経験値では上回っている」と胸を張った。20年2位から連覇達成の“シリーズ男”は、来年の目標に「3連覇」と即答。「年間で1勝するのは大変。この年でチャンスは減りつつあるが、こうして優勝できて、まだまだ(勝つ)チャンスは残っている」と、10~12年の藤田寛之以来2人目の偉業を見据えていた。(岩原 正幸)