１７番、イーグルパットを沈めガッツポーズをする石川遼（カメラ・中島 傑）
◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズＪＴカップ 最終日（４日、東京よみうりＣＣ＝７０２３ヤード、パー７０）
史上７人目の大会３勝目を狙った石川遼（３１）＝カシオ＝は、優勝に２打届かぬ通算１０アンダーで５位だった。１イーグル、４バーディー、１ボギーで、この日のベストスコアに並ぶ６５と猛チャージ。１７番のイーグルで一時、首位に１打差に迫り、６打差１１位からの大逆転Ｖが見えるなど、会場を沸かせた。１０月にプロ転向した蝉川泰果（たいが、２１）＝東北福祉大４年＝は、６６の８アンダーで８位に浮上し、飛躍のシーズンを締めた。
約１０００人が見つめた１８番グリーン。石川はすがすがしく、観客のねぎらいの拍手に応えた。この日最少スコアの６５と猛追。史上７人目の大会３勝目に２打届かずも「（終盤は）ベストなプレーができた。最後は次につながるいいゴルフで終われた」と胸を張った。
６差逆転を狙った。最終日は、逆転優勝した１１月の三井住友ＶＩＳＡ太平洋マスターズでも見せなかった「アグレッシブさ」を貫くプランに転じた。ショットで普段はピン５～６メートルの範囲を狙うところをそれより内側を攻め続けた。２番で奥３メートルにつけてバーディー。「これで（第３日１５番の）ダボがボギーになった」と右拳を振り下ろした。
圧巻は首位に３差に迫った１７番パー５（５３５ヤード）。子供からの「遼君、ガンバレ」の小さな応援に手を振ると、２２０ヤードからの第２打で勝負師は動いた。奥に外すリスクを避けてピン手前に乗せる“安全策”を捨てた。４ユーティリティーで右１２メートルに２オン。１メートル左に曲がるラインは３パットを恐れず強く打って沈めた。観客が沸き、石川も「シャーッ！」と雄たけび。１８番パー３も第１打でピン奥６メートルへ。決まれば一時首位に並ぶバーディーパットは外れたが、悔いはない。「やり切れたので、すごく楽しかった」。表彰式で最終日１７番イーグル賞として「大粒ごはん」１年分を手にした。
２０年から再現性を求め、トップを浅くしたスイング改造に着手。３年目の今季は課題のロングゲームで成長を実感し、１１月の２年１１か月ぶりの復活Ｖで自信を深めた。今季は９アイアンに代わり４３度ウェッジを投入。話題になったウェッジ５本態勢もなじんできて「（１つ上の）８アイアンと距離の差がまだあるが、うまくできれば強みになる。（スイングも）積み重ね」と取り組みを継続の意向。来年初戦は海外も含めて検討する。理想を求めた石川の「旅」は、来季も続く。（宮下 京香）