史上初のジュニアゴルフ世界4大メジャーのグランドスラムを達成し、「天才少女」と呼ばれる11歳の須藤弥勒(ゴルフ5)が、ジュニアゴルフ界から引退することが20日、分かった。19日にスポンサー企業の一つで「いしど式」のそろばん塾の運営などを行う「イシド」が千葉・成田市内のホテルで開催した創立50周年記念祝賀会に出席し、その席上で「今後、年齢制限があるジュニアの試合には国内、海外を問わず出場しません。(アマチュアの)ナショナルチームや日本女子アマも目指しません。プロツアーの試合のデビュー戦に向けた準備に専念します」と関係者に報告。ジュニアゴルフ界からの引退を表明した。
破天荒な天才少女らしい「引退宣言」だった。「私の目標はプロの世界で活躍することだけです。ジュニアゴルフから引退します」と言い切った。「卒業」ではなく「引退」。より強い表現でジュニアゴルフとの決別を公言した。
父・憲一さんは「近年の傾向を見ると、ジュニア、アマチュアで活躍しても、プロの世界で活躍する保証はなく、ナショナルチームメンバー、日本女子アマ、オーガスタナショナル女子アマといったアマ最高峰のタイトル保持者でもプロテストを合格できない選手もいることが現実です。弥勒の場合、幸運にもスポンサーに恵まれ、早くからプロのレギュラーツアーに出場できる見込みなので、プロ仕様の準備に専念させたいと思います」と説明した。また「普段、弥勒は白ティーから黒ティーで、プロツアーと同等の6500~7000ヤードの距離で練習ラウンドをしています。約5000ヤードのジュニアの試合に合わせて短い距離への調整も大変で、時間の浪費でしかありません」と話した。
現行のツアー規約では満13歳で出場可能。2011年8月6日生まれの弥勒の場合、来年の8月6日以降にツアーに出場できる。弥勒は「13歳になった時、どれくらい成長できているか分かりませんが、勝みなみ選手が持つ15歳293日のツアー史上最年少優勝記録を大きな目標に精進していきたいと思います」と力強く話した。
昨年、アマチュア資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、弥勒は所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体のスポンサーを持つ。11歳のアマながら抜群の存在感を持つ弥勒は、退路を断ってプロツアーの世界に向かって突き進む。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。11歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇し、頭角を現す。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。昨年8月に横峯良郎氏に弟子入りした。現在、ドライバーの飛距離は約210ヤード。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。