今平周吾、逆転開幕V 村神様から「刺激もらった」原点回帰で「最高の滑り出し」


18番、バーディーパットを決めてガッツポーズする今平周吾(右)(カメラ・馬場 秀則)

18番、バーディーパットを決めてガッツポーズする今平周吾(右)(カメラ・馬場 秀則)

◆日本男子プロゴルフツアー 東建ホームメイトカップ最終日(2日、三重・東建多度CC名古屋=7062ヤード、パー71)

 2打差4位で出た2018、19年賞金王の今平周吾(30)=ダイヤゴルフ=が8バーディー、ボギーなしで、この日のベストスコア63をマークし、通算20アンダーとし、逆転で開幕戦を制した。昨年5月のゴルフパートナー・プロアマ以来となる通算8勝目。オフは240段の階段ダッシュで原点回帰。キング奪還へ、スタートダッシュを決めた。首位で出た石川遼(31)=カシオ=は68で回り、17アンダー3位だった。

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 最終組の2つ前から、今平が後半6バーディーの大まくりを見せた。最終18番で2メートルのバーディーパットを決めて勝負を制すると、右手でガッツポーズをつくった。「決めれば優勝の確率が確実になる。決めたいと思った。初戦で優勝できたので、最高の滑り出し」。2位に2打差をつける、見事な逆転劇だった。

 9番で2メートルを決めて、この日2つ目のバーディーを奪った。この瞬間、今平の中で猛追の準備が整った。「今日は打てていなかったのが、9番でいいタッチで入ってくれた。その感触が残ったままバックナインにいけた」。13番パー3でリーダーボードを見た。トップとの差は「2打」と確認。「自分が伸ばさないと追いつかない。1ホール、1ホールいこう」。今後はスイッチを入れた。後半9ホールを10パット。隙のないゴルフで勝ちきった。

 「初心を忘れずです」と穏やかに言った。オフは地元の埼玉を拠点に、トレーニングに取り組んだ。中学生の頃に練習に取り入れていた、入間市・桜山展望台の階段ダッシュで原点回帰した。240段を10往復。毎日のように駆け上がった。「マシンでやると、筋肉が硬い感じになる。僕は感覚派。バネのある強さが階段ダッシュだと得られる」。体は仕上がり、万全な状態で新しいシーズンを迎えることができた。

 17年から続く連続シーズン優勝を、開幕戦で「6」に伸ばした。「今季は3勝したいし、次の試合も優勝を目指したい。調子も上がってきたので、また賞金王を取れるように頑張りたい」。階段ダッシュで決めたスタートダッシュ。王座奪還へ加速する。(高木 恵)

 ◆ちょっといい話

 今平は“神様”の活躍に触発され、再起を誓った。19年12月。2年連続賞金王は「報知プロスポーツ大賞」の席で、プロ野球のセ・リーグ新人王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手と出会った。「今度、ゴルフを教えてください」とあいさつされて連絡先を交換。その後、親交を深めた。

 先月、横浜市内でのイベントで村上の話を聞くと、目を輝かせた。昨年、日本選手最多記録更新の56本塁打を放った雄姿を「テレビで見て刺激をもらっていました。すごかったですよね」と称賛し「僕も今年、負けないように頑張らないと」と明かした。そして、WBC侍ジャパンの主砲として不振だった村上について「やっぱりホームランを打つ姿を見たいですね」と熱い期待を込めていた。WBC決勝での村上の豪快な一発が、この日の優勝を強烈に後押ししたに違いない。(ゴルフ担当デスク・榎本 友一)

 ◆今平 周吾(いまひら・しゅうご)1992年10月2日、埼玉・入間市生まれ。30歳。9歳でゴルフを始め、2008年の日本ジュニアでは松山英樹との最終日最終組対決を制して優勝。高校を中退後、米IMGアカデミーで2年間武者修行。09年全米ジュニア8強。11年にプロ転向。18年は1勝、19年は2勝で2年連続賞金王。22年は自身初の2週連続優勝をマーク。165センチ、67キロ。家族は妻。

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