川岸史果が父娘制覇以来6年ぶり優勝で涙 今度はキャディーの母とタッグで超異例短期決戦制した


6年ぶりの優勝を果たした川岸史果は、花束を手渡され感極まる(カメラ・今西 淳)

6年ぶりの優勝を果たした川岸史果は、花束を手渡され感極まる(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー リシャール・ミル ヨネックスレディス 最終日(4日、静岡・朝霧ジャンボリーGC=6687ヤード、パー72)

 第1ラウンド(R)の未消化分と決勝Rの9ホールが行われ、川岸史果(28)=加賀電子=が通算9アンダーで並んだ佐久間朱莉(20)=大東建託=をプレーオフ1ホール目で下し、17年9月以来の2勝目を飾った。「怪物」と呼ばれた川岸良兼(56)を父に持つ飛ばし屋が悪天候によるツアー初の「セカンドカット(決勝R進出選手の制限)+27ホール短縮」の異例の短期決戦で涙の復活Vを遂げた。3人目の3週連続優勝を目指した山下美夢有(21)=加賀電子=は1打及ばず、3位だった。

 超異例の短期決戦は川岸母娘タッグの初優勝の幕切れとなった。荒天と霧の影響で史上初のセカンドカットありの27ホール勝負に。「誰にでも優勝のチャンスはあるので、目の前の一打に集中した」と川岸はこの日計19ホールを回った。佐久間とのプレーオフの1ホール目。1・5メートルのバーディーパットをねじ込み、キャディーを務める母・麻子さん(56)と抱き合った。「お互い言葉はなかった。思っていることは分かっているので。長かった…」。大粒の涙がこぼれた。

 父は、飛距離を武器に男子ツアー6勝を挙げた良兼だ。母(旧姓・喜多)もプロ。娘も期待通りに17年9月、22歳で国内ゴルフ史上初の父娘Vとなる初優勝を遂げた。同年は賞金ランク7位へ躍進した。だが、翌年からドライバーショットが絶不調に。「(大きく曲げて)ギャラリーにボールを当ててしまう、と怖かった」と話す。18年は賞金ランク60位に急降下し、19年は賞金0円まで落ち込んだ。

 どん底からはい上がった原動力は、努力と両親の愛情だった。「クラブ契約をフリーにして、どのドライバーも使えるようにした」。肉体改造も試行錯誤を繰り返した。「一時は体重を絞ったけど、持ち味の飛距離が落ちた。また(体重を)増やしました」と明かした。

 母とはいつも一緒に行動する。6年前の初優勝時は起伏が激しいコースだったため、ハウスキャディーとのコンビだった。「私が担いでいる時に勝ってよ」と、いつもエールを送っていた母に優勝の景色を見せられたことは格別だった。父も娘を陰ながらサポート。「先週もコソコソと見に来ていました」と麻子さんは笑顔で明かした。この日は仕事のため不在。「オレがいない時に勝つなよ」と、冗談めかして話していた父について川岸は「すごく喜んでいると思います」と笑った。最小の大会となったが、川岸親子には大きな1勝となった。(竹内 達朗)

 ◆川岸 史果(かわぎし・ふみか)1994年10月13日、神奈川県生まれ。28歳。ゴルフは小学校5年生で始める。2007年の関東中学校春季大会優勝。日大高卒業後の16年にプロテスト合格。17年に初優勝し、初の賞金シード入り。18年から21年までシード喪失も、22年にポイントランク45位でシード復活。母・麻子さんは91年日本女子プロ23位などの実績を持つ。166センチ。

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